変化球

仕事で少し、ほんの少し関わる人に、変化球を投げる人がいる。その人のことが苦手だ。 仕事をしていると「これはバッティングみたいだ」と思う。そして、私は基本的に球を打つことが好きだ。 その人は、さながら球種も球速もばらばらなピッチャーマシーンで…

近くのもの、遠いところ

電車に乗る。街並みがぐんぐんと過ぎ去っていき、また近づいていく。時折遠くの景色を見ることができる。冬の空の青、たかさ。それを見たとき、自分がめちゃめちゃ生きているのだ、ということを実感し、恐れに似た感情を覚える。とても空腹で、胃がそれを訴…

ベビーピンク

考えてみれば、私の場合「嫌いな色」というのは存在しえないのではないか。私に似合わない色はある。私の好みではない色もある。でも、嫌いな色は無いのかもしれない。色を嫌うとき。そこには過去の出来事、感情があって、嫌な出来事や苦々しさと色が結びつ…

見てきた風景

撮った写真ファイルの中から毎月10枚を選ぶ。 2019年から始めて、500枚以上の写真を、初めてアルバムに整理した。それまでは乱雑にせんべいの缶に入れていたのだけど、アルバムに収めたくなったのだ。撮った瞬間を共有する相手がいない写真がほとんどで、ど…

たまごサンド

その電車に乗りたいので、遠路はるばる電車を乗り継ぎ、乗りたい電車に乗り(正確には、電車に乗りたいというよりは、その路線を走破したかったのだけど)公園を散策して帰宅した。 椿 忘れられたボール キャベツではない、おそらくは たまごサンドを食べた…

セロテープ

セロテープを買った。 それまでメモや切り抜きをノートに貼るとき、それが糊じゃない方がいいときはマスキングテープを使っていた。そのマスキングテープが切れてしまったので、セロテープを買った。 新しいマスキングテープを、違う色、違う柄のものを買え…

2024年の目標

共感のネットワーク 共感というものが、自分の体内にある神経系のネットワークを縦横無尽に駆け抜けるならば、自分のそれは、所々焼き切れているのではないかと思う、今日この頃である。 なにか自衛が働いているのかもしれない。 山を越えた向こうの、地震に…

生菓子のカード

生菓子の箱の中に入れられた説明カードが好きなので、捨てられる前にこっそりとポケットにしまって、あとで机の前に座ったときに日記のその日のページに糊付けする。 菓子の由緒や食べ方が記されたカードが何故好きなのかというと自分でも言葉にできていない…

窓を開ける

一月一日だ。特に何かがあるわけではない。いつものように窓を開け、部屋の中に空気を取り込む。カーテンが膨らむ。今日は風が強く、少し暖かい気がする。カルディの10袋入りのドリップコーヒーを開ける。ホットなら無糖で飲めるようになってきた。コーヒー…

靴を買った。薄いパープルのスニーカーだ。オンラインストアで見たら私の買値より千円ぐらい安くて一瞬悲しい気持ちになったのだけれど、オンラインストアが新年セールで安かったのと、店舗のテナント料やスタッフの人件費と考えれば仕方ないと思うことにす…

十二月二十八日の寂しさ

十二月二十八日の夜の寂しさが好きだ。二十五日でもない、三十一日でもない、あいだの夜は、とくべつな寂しさで満ち満ちている。ダッフルコートのフードをすっぽりと被り、月明かりの下を歩く。

再会を喜ぶ

家の本を整理した。手元に置いた本のうち、もう一度読みたいものだったり手をつけられていない本を椅子の上に積んだ。そして手が空いたタイミングで、本を一冊一冊紙で包んでいく。私の目を晦ますために。 見えなければ存在しないのと同じ、というのは残酷な…

わからなくなる時

わからなくなる時がある。 たとえば、自分がどれだけの量をどれだけの音量でどれだけの声音で喋ればいいか、ぷつんと糸が切れたようにわからなくなる。 たとえば、ポケモンの遊び方がわからなくなる。どうやって遊べば楽しくなるのだっけ、いや、楽しいって…

夏が終わるにはあと1か月ほど必要だった頃、私は鞄を買った。その鞄と一緒に旅行にも出かけた。憧れの鞄だった。 その鞄は牛の一枚革を贅沢に使ったもので、たぶんこの鞄を最後に私は革製品を買うことはないだろうと思う。嘘。今使っている財布とパスケース…

信号機

少し前まではなかった真新しい信号機が、車ばかり走っている夜の道に煌々と光っているのを見たとき、私は少しばかり気持ちが上向いた。もうこの交通量の多い道を迂回する必要はないのだ。迂回したことなど一度もないけれど。対岸にあるめぼしい店は某天丼チ…

書けてない懺悔

懺悔という文字を書けるようになったなあ、と思ったら、微妙に間違っていることに気づいた。精進、である。今日もEXILE ATSUSHIの懺悔を聴いていた。この曲を聴きながら神妙な面持ちで寺社仏閣を訪ねるのが楽しいのだが、最近行けてない。また近いうちにどこ…

感情という毒

お金と退職の話が苦手だ。政治の話は、もうちょっとましである。面白さの点で。そして、特にお金については興味がないわけではないし、大事なことだとわかっているし、お金を稼ぐことが悪だとも思ってない。お金ってなんだろうとは思うけど。 飲み会も嫌いだ…

過密しか満たされない

海に行く。調子があまり良くない。糸を結び直さなければならない。 行ってみたかった公園を散策する。傾斜が大きい道を上ったり下りたりするたびに、意識は足裏に注がれる。足を滑らせたくない。踏みしめる地面のかたさ、岩の大きさ、形、湿り気、それらをさ…

性格のようなものが、少しずつ少しずつ変わってきているように、思う。 性格のようなもの、と表現するのは、大福を性格のようなものとしたとき、餡の部分がより根幹的なところ、そしてそれを取り巻く餅の部分が少しずつ変わってきていると思うからで、餡は餡…

階段ゾンビ

階段。好きでも嫌いでもないもの。でもこれからはちゃんと上がりたいと思っているもの。 先日、東京という街にある東京タワーに一人で遊びに行った。メインデッキまで階段で上がることができるようで、それにチャレンジしてみたかったのだ。元気が有り余って…

雪の上の足跡、その始点

今週のお題「書いてよかった2023」 私のスマホのカメラロールは、一時保管場所である。撮った写真や映像はいずれ消すもの。それが明日なのか、明後日なのか、一週間後なのか、一か月後、半年後なのかはそのときになるまでわからない。そのときになるまでわか…

買うものリスト

100円均一で買うのはあんまり好きではないのだけど(今はものを全力で買うというのが自分の中のトレンドであり、100円均一の店で全力で買うのは「有」だけども、歯応えに欠ける、100円という金額によって私はかの店を舐めている、良くない)使っているメモ帳…

塗り潰せ

重たくて、分厚くて、箱みたいなメモ帳に、少し前から文章をただ書いている。日記ではなく、即興のテキスト。例えば東京タワーについて。例えばホタテの貝ひもについて。使うボールペンはuni-ball Oneの、インクはブルーブラック。楽しい。そこで書いたもの…

透明なガラスのコップ

念願の、透明なガラスのコップを買う。ガラスの耐熱ボールを買いに出かけたら緩衝材のプチプチに包まれて30%引きで売られていたのだ。このコップでこれからはたくさん水を飲みたいと思っている。

糸を繋げ 〜散歩に行く vol.17〜

ふて寝した翌日の気分は最悪だ。昨日やりたかったあらゆる物事が残存し、本来なら気分良く捌くはずだった「魚」たちは、鮮度が落ちつつある。私はこの状況を好まない。 惚けたように午前中を過ごす。ゼノブレイド3のタイオンのサイドストーリーを進める。初…

考えたい

私は酔うという状況があまり好きではないのだけど、それはどうしてだろうと歩きながら考えていたら、「考えるのが好きだからじゃない?」というところに行き着く。逆に言うと「考えたくない」ということが無い。ほぼ無い。「考えられない」はあるけれど「考…

一度離して

向井太一(現・TAIL)の楽曲に、「リセット」という曲がある。 三浦しをんの小説『風が強く吹いている』がアニメ化されたときのエンディングテーマだったらしいが、向井太一の曲を聴き始める、良い曲だなあ、え、『風が強く吹いている』のEDだったんだ、とい…

メモランダム vol.19

本が読めないので 本を読んでいないわけではないが前のように読めなくなったので、読む為にTODOを持ち出している。細かなTODOの間に、この本を読む、というタスクを挟み込むのだ。さながら本のページに差し込む栞のように。小説は難しいが、エッセイ集だと一…

湯豆腐

小さい頃食べられなかったものも、大きくなれば食べられるようになる、という言説があまり好きではなかったし、今も好きではない。食べられなかったものが食べられるようになる。それ自体は素敵なことだと思う。 理屈はわからない。大人になって慣れるとか味…

存在否定型自己ツッコミ

自己防衛的な機能なのだろうけど、ごく稀に、何もかもを客観視するモードになり、最近の自分の言動すべてが馬鹿馬鹿しく愚かだと思うことがある。 自分が舞台の上の演者なのはよくわかっている。それを丹精込めて演じていることを馬鹿げているとは普段は思わ…