近くのもの、遠いところ

電車に乗る。街並みがぐんぐんと過ぎ去っていき、また近づいていく。時折遠くの景色を見ることができる。冬の空の青、たかさ。それを見たとき、自分がめちゃめちゃ生きているのだ、ということを実感し、恐れに似た感情を覚える。とても空腹で、胃がそれを訴えているのかもしれない。喉の奥に異物感がある。

 

少しやり方を変えている。その日のことを考えるようにしている。

先のことを考えるのは苦手、というわけでも実際無いのだけど、それ以上に、今日何をしたいか、という関心の方が強い。刹那的なのかもしれない。

そういうやり方は、必然として近視眼的になる。近くのものを見るばかりに、遠くがあるということを忘れる。出かけるということは、私にとって「遠くを見る」ということなのだろう。

自分は何をしたいのだろうか。私の遠くはあまり想像できない。自分が何を望むのか淡くときどき考える。