雪の上の足跡、その始点

今週のお題「書いてよかった2023」

 

 私のスマホのカメラロールは、一時保管場所である。撮った写真や映像はいずれ消すもの。それが明日なのか、明後日なのか、一週間後なのか、一か月後、半年後なのかはそのときになるまでわからない。そのときになるまでわからない。自分の中で納得したとき、私は静かに写真を消去する。

 私はスマートフォンの画面をスクリーンショットでよく保存する。メモ帳もTODOリストも、ひとたび放り込めば、次に開くのはずっと後。でも、写真アプリはよく開くので、そのとき私は思い出すことができる。分からない単語(検索アプリの検索バーに単語だけ打ち込んでそれをスクショする)、書き写しきれなかった本(気が向いたときにノートに書き写す為のもの)、気になるWEBサイト、予約したいCD、エトセトラ。いずれもいつか気が済んだ時に消す画像。その中で唯一、自分のブログの記事のスクショがある。

きれい - 透明で不可能性

 どうしてこの記事だけ? 理由は言える。あのときの私の行動指針が書かれているからだ。

 書いたことは覚えている。スクショも改めて開いたりはしない。けれど、写真アプリを開いて、たくさんの画像ファイルの中の、私の行動指針の存在を認める度に、今の自分があのときからどれぐらいの距離歩けたのだろうかということを振り返る。スタート地点とも言える。雪の上に点々と続く私の足跡、その始点。

 今のところ、スクリーンショットを消すつもりはないけれど、いつかは消すことになるだろう。私の気が済んだそのとき、多分また違う始まりが訪れて、そのときに書く文章も「いい感じ」だったら嬉しいなと思う。私は私の行動指針を気に入っている。