2020-01-01から1年間の記事一覧
諦めの大晦日 2020年12月31日(木)。年末年始休暇は規則正しい生活をしようと思っているのに朝の9時に起きた。もう2時間くらいは早く起きたいなぁ…と思いながら朝食を作る。食材を腐らせることが嫌いなので、冷蔵庫にあるもやし半分をフライパンに放り込み…
光と波と 飛び込み台を足で力一杯押し出しからだを宙に投げ出す。音が消えた。プールの底に向かって手で水を掻く。真夏の太陽の日差しがプールの中まで差し込み、水面の揺らぎが網のようにプール全体に広がっている。底にたどり着くと私はクルッとひっくり返…
「でね、俺はAはBでCだと思うのね」という話を体感10分間延々とループで聞かされながら、50%の私はこの上司の機嫌を損ねない程度に気の利いた相槌を打ち、もう半分の私はこの上司を脳内デスクトップにある「侮りフォルダ」に入れるか入れまいかのせめぎ合い…
今年の冬は寒い。天気予報を見ないから今何度なのかわからないし、数値とキンと肌が痺れる感覚をわざわざ結びつけなくてもよかろうと私は今日も天気予報を見ない。太平洋側の冬は、雨が降る心配をほとんどしなくていい。 1日の中で1番日が短いです。それが…
私は本棚に沿う形で横歩きをする。平積みになった本の表紙を一冊ずつ確認していく。今日はどんな本を買おう。買おうと思っていた本と買いたいと思える本。過去と未来。淡水と海水が混ざり合っていく様。その汽水域が楽しみになってきた。月一の本屋も習慣に…
日清のトムヤムクンヌードルは、酸っぱいのか甘いのかわからず混乱する味。最初は苦手だなと思っていたけれど、二回目、三回目と食べるうちにそのユニークさを面白がる自分がいて、今日もまたコンビニで買ってしまった。 ユニークというのは、つまり日本の「…
サブウェイとは地下鉄であり電動スクーターのようでありサンドイッチだと思っていたら、電動スクーターのような乗り物は正確には「セグウェイ」であった。サブウェイ。地下鉄には乗るがサブウェイのサンドイッチは食べたことがない。サブウェイサブウェイサ…
「よし、歩くぞ」と思って歩くのと惰性で歩くのでは、同じ歩くという動きでも意味合いがまったく異なり、前者は世界と接続している気持ちになる。どうも一仕事終えるとスイッチがoffになりそれ以降の自分は使い物にならないようだ。私はそういう自分がとても…
今日は何もない日だと思った。何もしていない日。けれど、実際は何かを食べ、横になり、歩き、ゲームをし、本を読み、スクワットをした。それ以外にも些細なことをたくさんと。 それらはすべて私にとって「とるにたらないこと」であり、成果としてカウントで…
そのカレーを食べたとき私は値段を疑った。 バターチキンカレーだと思しきルーが器によそってあり、皿にはパラリとしたご飯、添えてあるのは赤や黄パプリカのスライスに輪切りのナス、ホクホクのジャガイモやニンジンにいんげん。ゴロゴロ野菜は目にも鮮やか…
ぶつ切りになったたらこが冷蔵庫にある。私はそれを見て「うひょひょひょひょ」と笑う。別にたらこは私の好物ではない。私の好きな食べ物は、ケバブ、茶碗蒸し、ゆで卵、クラムチャウダー、イカ焼き。そこにたらこは入っていない。 好きな食べ物は神様のお告…
バランスボードを奪った。 バランスボードというのは、体幹を鍛えるための不安定なボードで、グラグラするその上に乗り上手くバランスをとることで体幹を鍛えましょうという製品だ。奪った相手はダイエットのために買ったらしいのだが、使っている気配がない…
その街には川が流れていた。 時刻は22時半。川沿いの道を私は一人歩く。等間隔に並ぶ街灯を綺麗に思い、ポケットからスマートフォンを取り出して撮影を試みるも、自分が綺麗だと思ったものを満足に撮ることが出来ず二、三枚だけ撮って諦めてポケットにしまう…
スターバックスのドリンクの中で一番大きなサイズ、それがVenti。 ああVentiサイズのドリンクが飲みたい、という呟きは、声は小さいけれど立派な凶暴性を孕んでいて、例えばパンケーキを暴食するような勇気がない私の気弱さでもあり、食べ過ぎは胃に負担がか…
ジャグリング ジョギングをした後にスーパーに立ち寄る。 緑茶の伊右衛門と炭酸のキリンレモンとカルピスの原液を買う。買い物するつもりはなかったからエコバッグを持ち合わせておらず(平生でも私はついついエコバッグ代わりの薄いトートバッグを持ち歩く…
誓いとは「誓うこと」である。誓うということは「神や仏、自分や他者に対してある行為の実行を堅く決意すること」である。確かに、結婚式でこんなやりとりがあった気がする。それは、まあ、いい。誓いとは願いでもなければ祈りでもない。そこを私は混同して…
このあたしが今日一番おいしくポテトを食べた自信がある。 素朴な芋の味。ケチャップが苦手だろうが、空腹の前には意味がない。 時々、切実に食べたくなる。その欲望が生まれること自体、とても恵まれているということ、わかっている。あまりに溢れていて、…
柔らかくあたたかな日差しの気配。 私は俯きがちに一歩一歩足を前に出す。ゆっくりと歩きながら地面からの反発を楽しんでいると、くるくる回りながら滑る落ち葉に追い越される。かさこそと音が鳴る。 顔を上げると私の頭上にはぽきりと折れてしまいそうな木…
机といす。そして本棚だけがある部屋をイメージしてほしい。 私はその部屋の中にいて、たくさんあるA4のコピー用紙を宙へ放りなげる。紙が散らばったその床の上で、ひとり横になる。ぺたりと寄せた頬で紙の質感を感じる。 整然と乱雑。相反する状態をそのま…