骨の記憶

池の真ん中、ぽつんと浮かぶ小島に大きなケヤキの木一望できる場所にベンチがひとつ剥げかけた白塗りのペンキ私が腰掛けると悲鳴をあげて傾いだ 凪いだ水面を見つめる私は火山灰を所望する降り積もる死の雪に埋もれるこの私朽ちた肉体のその先に骨にきっと刻…

コスモス

出かけた。 今回新発見だったのは「写真」についてだ。 出かけるときは大体一眼レフとコンデジ両方で撮影しているけども、いい写真を撮りたいというよりは(もちろん撮りたいけども)撮りたいなと思ったものを素直に撮っていて、もしかして「撮りたいなと思…

採血

採血のときは緊張より好奇心が勝る。看護師さんの一挙手一投足から目が離せない。自分が採血する側だとして、嬉々として乗り込んでくる患者がいたらさぞかし疎ましいだろうなと思いながら、椅子に座るときわくわくしている自分がいる。 アルコール平気ですか…

解体現場

高床式のように二階部分が店舗で下は駐車場、そんなファミレスが閉店したのはいつだろう。ここ1年ほどのことだからやはりコロナ禍の影響は否定できない。結局その店に私が訪れることはなかった。 交通量の多い道路沿いにあるそのファミレスは(正確には「フ…

夜と橋とタワー

夕暮れ時を歩く。 タワーを見上げた。 特に何も思うことがないくらい、へとへとであった(1時間ほど歩いたので)。

空白

何故こんなものを書いているのだろう。 空しさよりライトな、ぼんやりとした空白が今日はやってきた。お互い暇なのだろうねと、とりあえず挨拶をしておいた。どうもこんにちは。 それなら書かなくてもいいと思うけれど? そうね、でも、空白のことについて書…

夜の散歩

半袖が好きだ。半袖が好きだから春も夏も秋も冬も半袖を着られたらいいのに、と思っている。 けれども夜風が冷たい季節になってきた。当たり前に半袖の私は、黒色のパーカーを取り出してささっと羽織る。ちなみに私は黒のパーカーも好きだ(パーカーについて…

私の体は餡で出来ていて、それを抉り取って誰かに渡すときコミュニケーションが生まれるような気がしてたけど、たぶんそれは間違い。削り取るようなやさしさはやさしさにならない。餡を渡すことはコミュニケーションではない。私にはわからない。餡を渡すこ…

沼 vol.2

日暮れを見送るまで歩きたい、という欲望は年内に満たせるかわからない。少なくとも今回は達成することができなかった。一日中歩き続けることができたらいいのに。あと3か月足らずで、果たして叶えることはできるだろうか。 時々身体的に自分に苦行を課した…

持続不可能性

たくさんの距離を歩いた。歩くことを楽しむ力はおそらくあるので勿論今日もとても楽しかったのだが、早くも楽しさの花弁は萎んでいくところでああ楽しいことを瞬間冷凍することはどうしてできないのだろう、楽しさは持続しないということ、とても悲しい気分…

投擲

夜道を歩く私は右手に上履き入れを持っている。 そういえば、久しく物を投げていないと思った。そう、物を、投げていない。 一度意識してしまうと途端に体が疼きだす。投げたい。何かを、投げたい。 誰もいない。私は確認すると、上履き入れをぽーんと真上に…

椅子取り合戦

電車に乗るときは、乗客がそこまでいない、あるいは、立っていられないほど疲れているときを除いて席に座らずずっと立って本を読んでいる。吊り革も掴まない。電車が大きく揺れるたびにバランスを欠いて転びそうになる体。支えるべく、がたんと、足を一本踏…

生ぬるい絶望

生ぬるい絶望を持て余している。調子を10段階とすると今日は7ぐらい、そんな日に私はつらつらと絶望について考えている。 文筆家の能町みね子さんのエッセイに「絶望してるけど投票には行く」というのがある。最近、ちゃんと政治のことを見ていこうと思うよ…

パスタ

先の週末に、手持ちのCDを少し整理した。何か捨てるわけでもなく、取り出して「そういえばこんなこともあったね」なんて束の間懐かしみ、再び箱にしまった。 ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『ホームタウン』を見つけた。買ったはいいもののそこまで聴きこんでい…

デコ・バインダー

ゼロ 身体と精神ではなく、肉体と脳にあえて分けるなら(脳は肉体の一部であるというのはその通り)日々の生活では脳的疲労が肉体的疲労を上回る。おそらく幼少期は動き回っていた分肉体的疲労の方が上だったと思うし、高校時代は脳的疲労と肉体的疲労が同じ…

迷惑メール

迷惑メールフォルダを時々覗くと思わぬ収穫があって楽しい。 今日はずばりこんな本文だった。 おひさしぶりです。LINEしてもかまいませんか? たったのこれだけ。文は一瞬で通り過ぎる。私は「ぶはっ」と息を吐く。そして笑う。 内容的に迷惑メールでない可…

ジョグ vol.3

雨雲と雨雲の隙間を走った。アスファルトは濡れ、街灯でぬらぬらと艶やかに光る。鈴虫があちらこちらで鳴り、道端に生えた長い雑草が脛に触れた。雨露が冷たかった。 切り替えるということについて考えている。私には内省する時間が必要だと思う。それは例え…

クリアな思考

化粧品メーカーのSK-Ⅱの綾瀬はるかのCMの「クリアな素肌」の発声が好きなのは私だけだろうか。ピテラエッセンスでクリアな素肌が得られるらしい。クリアな素肌、クリアな素肌、クリアな素肌。口の中で言葉を転がしてしまう。 電気ケトルのスイッチを入れると…

木須肉丼

交差点の角にある中華料理店は500円でテイクアウトを注文できる。このお店で何かを買って少し歩いて公園の芝生でレジャーシートを敷いて食べる、というのを時々している。黒板に書かれたテイクアウト用メニューを上から制覇して(あまり得意でないものは除く…

雨が降ってきた

川を眺めることができるその場所で柵に近寄ると薄墨を塗りたくった色をした川をぼうっと見ていた。右手にはカフェオレ(セブンイレブン)。おかしいな、ガムシロップを入れたはずなのに全然あまくない。 手紙について考えていた。綴ることは糸を通した針を動…

クレープ

帰り道にクレープを頬張りながら私は、 「やっぱりクレープは単独三位かしら」なんてことを考えていた。 好きな食べ物ランキングだと、一位はキャンベルのスープ缶のクラムチャウダー(三人前というこの缶を私は一度で一気に食べる(スープだから「飲む」か…

鎌鼬

好きな漢字は、為、静、瀬。 苦手な漢字は、施。 「かまいたち」は「鎌鼬」と書く。鼬の字ってどう書けばいいのだろう。私はわからなかった。「鼬 書き順」で調べた。正しい書き方を覚えるべく何度も鼬鼬鼬鼬鼬と書く。漢字を書くのは楽しい。書けば覚えられ…

20210923

駅へと向かう。昨晩降った雨の残り香が澄んだ朝の空気に溶け込んでいる。湿ったアスファルト、コンクリートの塀、側溝の蓋と蓋の間に生えている鮮やかな緑色の苔。マスクをすると匂いってある程度は遮断されるものなのだな。ふうと息をつき、そして目いっぱ…

ベティちゃん

特別なエピソードとして嫌なことがあったわけではないが、かつて通っていた学校の夢を見る時、それは嫌な夢になる。多分、私にとって学校は抑圧の空間だったのだ。概して学校はそういう性質を有するものだと思うけれど。 その子は名前の知らぬキャラクターに…

写真

写真を撮っている。 毎月10枚選んでいる写真も310枚になった。 310 - 透明で不可能性 撮った写真をネットプリントに出す、というのは以前からやっていたことだけど、直近8か月と印刷できていないものを含めて100枚ほどプリントしてもらうことにする。写真と…

カフェオレと読書

朝ごはんを食べると、私はマグカップを取り出し氷をひとつかみ入れる。カフェオレベースをとくとくと注ぎ牛乳で割るとカフェオレの完成だ。 傍らには読みかけの小説がある。江國香織の『東京タワー』。早ければ今日読み終えるだろう(そして読み終えた)。右…

桜の枝と夜の雲

土が踏み固められた遊歩道に沿う形で桜の木が立ち並んでいる。 半年近く前は淡いピンクの花が咲き乱れていた道は、これから少しずつスウスウとしていくだろう。葉が一枚、また一枚と散っていき、寒風がどこかに連れ去ってしまう。 桜の木の根元に枝が落ちて…

沼の底

私はただ一人、沼の底を歩いていた。 履き慣れたスニーカーが沼底の砂を捉える感覚が、足を通して肺の方まで伝わってくる。前に出した足にぐっと力を込める。わずかばかり砂に沈み込む。沈み切ったところで爪先で砂を弾く。そうして体を前に押し出す。体が前…

消しゴム

読んだ本のことを書く為のオレンジ表紙のノートを開く。 1ページ1冊がルール。相関図でもいいし、感想でもいいし、忘れたくない言葉でもいいし、知らなかったことでもいい、とにかく読んだ本のことを書く為のノートだ。 ふと思いついたので、ノートに書いた…

赤と青

赤と青 今は赤色と青色が好き。『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』の主人公はレッドでありブルーであった。それも影響しているだろうか? そうかもしれない。でも、この作品を読む前から私は赤色のノートを買っていたし、青い表紙のメモ帳を持ってい…