慣れてない

夜道を歩いていたら白い何かが歩道の真ん中に見えて、死体を警戒する私は身構え、それでもペースを落とさず近づくと、白い何かは猫のようで、しかしまだ冬が居座る寒い夜に、道路の真ん中で、足音が近づいているのに、ちっとも動かない猫は、多分息絶えていた。私はそのまま通り過ぎる。他にどうしろってんだ。立ち止まれば良かったかな、でも怖かったんだよな、違うな、嫌だった。死というものに慣れてないな、死が身近じゃない社会に生きているな自分は、ということを、歩きながら考えていた。