たらこ

 ぶつ切りになったたらこが冷蔵庫にある。私はそれを見て「うひょひょひょひょ」と笑う。別にたらこは私の好物ではない。私の好きな食べ物は、ケバブ、茶碗蒸し、ゆで卵、クラムチャウダーイカ焼き。そこにたらこは入っていない。

 好きな食べ物は神様のお告げ、ある種の天啓のように感じるのは大袈裟だろうか。大袈裟だな。空から降っているのと同時に、好きになりたいから好きであることにする、という応答をこちらもしなければいけないような、そういう能動的な行為だ、好きになるって。

 たらこはまだそこまでの領域ではない、と思う。直感的にそう感じてしまう。でもこのぶつぶつのたらこをほかほかのご飯の上にのせて食べたら美味しいだろうなああああああああ。と思って、明日の朝食にたらこを食べることを己に誓う。好きはそこから始まる。