クレープ

 帰り道にクレープを頬張りながら私は、

「やっぱりクレープは単独三位かしら」なんてことを考えていた。

 好きな食べ物ランキングだと、一位はキャンベルのスープ缶のクラムチャウダー(三人前というこの缶を私は一度で一気に食べる(スープだから「飲む」かしら)。好きなので自然とそうなってしまう)。二位はアボカドを使った料理(アボカドが入っていればなんでもいい。どうしてあなたはそんなに美味しいの?と心の中で語りかけながら食べる。口の中に濃厚なアボカドの風味が広がる)。

 今のところ三位になる食べ物はたくさんあって、いずれも同じように愛してやまない食べ物たちであり、クレープもその中に入っているのだけれど、私は運動した帰りにクレープ屋に寄ってお金を引き換えに受け取ったクレープを食べながら、こんなに美味しいのだからクレープは単独三位にしないとおかしいのでは?と考えていたのだった。

 バナナチョコ、イチゴバナナチョコ、イチゴチョコ。この三つのクレープが同じ値段なら、イチゴバナナチョコが一番お得じゃないか。そう思って「イチゴバナナチョコを」と店員さんに伝えた。出来上がったクレープをくるくると紙に巻いて若い女性の店員さんが私に差し出す。私はそれを両手で受け取る。

 クレープってどう食べたらいいか分からない。巻かれた紙をするすると解いても最終的に現れるのは剥き出しのクレープで、剥き出しのクレープを素手で触らない為の紙なのだ。仕方なく巻き直して上の方の紙をびりりと破っていく。ぱくつけるくらいになったら一思いにクレープにかぶりつく。べたんべたんの生地と生クリームの甘ったるさとイチゴの酸味とバナナの甘みに私は嬉しくなる。いまだにどう食べるのが正解なのか分からないけど、クレープは美味しい。