短歌
ママチャリの後ろに座る小さな子 紗々をあける手小さな手
交差点で信号待ちしていると、自転車の後ろに座った男の子が目に入る。その子は紗々の箱を持っていて、一つ手に取るとまさに開けようとしているところだった。私は紗々という菓子を食べたことがないか、食べたとしても一回だけとかそういうわけだったので、紗々いいな、どうして紗々なんだろう(他にもチョコのお菓子はたくさんあるのに)と思いながら彼の小さな手を見ていると、青信号になってしまったので自転車はどこかへ行ってしまった。
好きな人のことをいくら調べてもなれるわけない私が嫌だ
私には「好きだな」と思う人が、まあ、たくさんいるわけだが(大体好きだ)その人たちのことを好きだということは、つまり、その人の素敵なところを自分のものにしてしまいたいという気持ちが少なからずあるわけだけど、まあ、その人たちにはどうやったってなれないんだよな、と思うわけです。
正論と名づけられた拳骨で相手を殴る気持ちの良さよ
正論で殴るとある種の陶酔感のようなものが得られるような気がするのだけど、それ以上に気持ち悪くなるからしばらく喋りたくないモードになる。以上。
海水にひたした足を回収し浜辺を歩いて砂糖をまぶす
足が砂まみれになって大変なことになりました。以上。
平日の午前10時に読む朝刊 そこにいるのは「なった」人だ
新聞って基本的には何かを為した人とか、既に何者かである人が載っていて、何者にもなれない人とかは載らない。ちょっと寂しい。
目の裏で増殖していく眠気たち 三分たたずにゾンビになりたい
眠気が最高潮になると、「いっそ眠らせてくれ!!!」と怒りが湧いてくる、のは嘘。頭が働かず、体の動きが鈍くなりしんどいので人間をやめてゾンビになりたい。
感情が揺れると揺れたその波で 腫れて痛くて起き上がれない
俳句
ミルクバー 落ちる滴をよける靴
セブンイレブンのミルクバーがめちゃおいしい夏でした。