ジョグ vol.9

 ウォーターボトルを買ったので、もうペットボトルを買う必要はない。スポドリの粉末を適当な量入れて水を入れてバシャバシャ振る。イヤフォンをつけて、スマホと鍵をポケットに入れてボトルを持って外に出る。そしてゆっくりと走る。目分量で作るスポーツドリンクの味の濃さは絶対再現できない。

 この数か月で人生の折り返しに来ているような感覚を覚えるようになったのだけれど、あと半分生きる気? ってなったらそりゃあ違うよな、と走りながら考えている。

 そして私の嫌いなことについて考えていた。私の嫌いなこと。それは食べ物を腐らせること。そろそろ冷蔵庫に入っているシラスを食べないとまずいと思っていて、ああ、またペペロンチーノを作ろうと思ったけれど唐辛子の輪切りをきらしていて、どうしようこれじゃあペペロンチーノは作れない。腐らせるのは勿体ないから、という考えも当然あるけれど、なんだろう、食べ物が腐るということを受け止められないみたい。よくわからない。

 あともう一つ嫌いなこと。今日を今日として考えられないこと。つまり「あっという間」というのがとても嫌い。だのに最近の私はあっという間の波を盛大に被っており、これは私としては由々しき事態なのである。看過できないことだ。どうにか息を継ぎたいのだが、その前に脳のエネルギー切れで何も考えられなくなってしまう。困ったなあ。朝頑張るしかないか。

 雨に降られながら走る。濡れることになにか問題でも? というと、実は問題はない。電子機器類が壊れない程度の雨であれば。髪に細かい水滴がつき、しっとりとしてくるのがわかる。シャツもなんとなく湿ってきて体が冷えていく。それでも走る。

 体を取り戻せ! と思う。がーんとしている頭を正気に揺り戻すのだ。

 今日は紙の日記が書けていない。脱・茫然自失をいかに実行するかというのが大事。