乾いた本

 渇いた大地が雨粒を欲するように、本を読む。テキストが体の中に浸透していく。沁みていく。本を読むということには、長期的に見てこのような起伏が生じる。読みたいときと読みたくないときと読めないときと。肝要なのは、読めないときに己を責めないこと、絶望しないこと。

 80円で手に入れてしまったその本は、紙から水分が抜けごわごわとした感触で、ページを捲る時、一瞬だけ苦しい。その苦しさは、私が80円という値段と引き換えに得たもので、もう新品で買い直した方がいいのではないかと思うほどに、苛つく。なんだろう、枯葉の方がずっとずっと素敵と思ってしまう質感だ。多分、乾燥がひどいにも関わらず、紙がそれなりの厚さを保ってるからだと思う。枯葉はもっと薄く脆い。ページは、乾いているが脆いわけではない。ふてぶてしくそこにい続ける。

 なににせよ、また少しずつ本を読めている。いいことだ。逸らない。ただ本を読むことに集中する。(そういえば、今日は久々に本屋に行こうと思っている。買いたい本はないけれど、買いたいと思った本を買うのか楽しみだ)