海へと続く道

大型トラックばかりが通る二車線道路、騒々しい車道沿いに申し訳なさそうに伸びる歩道は、歩き易いとも言えるし歩きにくいとも言える。
歩きにくいといえば、家から20分ほどの場所にある国道は酷かった。道幅は人がすれ違えないほど狭く、車道と歩道の境界線上に植えられた街路樹の太い根が、歩道のアスファルトを突き破り絶妙な段差を生み出している。歩くときは考え事をしていることが多いので、ただでさえ不注意になりがちなのに、意外なタイミングで凸凹と木の根が張り出しているものだから躓いてばかりだ。こんなことでは歩くことに集中できない。国道沿いの道は散歩をするには適していない。
海へと向かうこの道は、国道に比べれば歩道の幅が広くゆとりがある。道幅が広いだけで歩くときのストレスはこんなにも違うのか。何事も設計とは侮ることができないなと思いながら、なおも歩く。それでも決して歩きやすい道ではない。やはり車の存在は大きい。ひっきりなしに往来する車。走り抜ける音?平気だと思っていても何かしら消耗させられるものがある。
一泊二日。これから私は海沿いの街に滞在する。目的は無い。強いて言えば海を見たい。ただそれだけだ。

クリーンな道だ、という感想を抱く。車のおまけの道。都会から離れれば離れるほど
ただ、ただ真っ直ぐに伸びる道、右と左、道路の際が伸びて進んで伸びたその先に一点に収束してもなお海が見えてこない。その果てしなさに眩暈がする。駅から海岸は15分程度と聞いていたが体感時間はそれよりかなり引き伸ばされている。アスファルトで綺麗にならされている。
道沿いに梅の木が立ち並んでいる。
青い空に梅の花が映えている。
往来する車は梅を見るだろうか。見てほしいな、こんなにも綺麗なのだから。

駅前に落ち着いた佇まいの弁当屋があった。割烹姿のおばあさんが注文と会計をもち、奥では同じ割烹着を着た女たちが作業に追われている。薄汚れた換気扇が勢いよく回転しているのが見える。飾ることのない、誰にも阿ることのない、さっぱりとした印象を抱いた。いい弁当屋だなと思った。だからこの店で弁当を買うことにした。海岸まで歩いてそこで食べよう。朝早く家を出たからまだ朝食を食べていない。

 

 

という書き出しの物語。ただこの先は続かなそうというか、まあいいか(何が?)ということになったので投稿する。