AM5:12

朝5時に起きる。再び眠りにつくこともできる時間だったし、起きがけなのに目の奥が痛むところをみると明らかに眠った方がいいのだが、私は掛け布団を蹴飛ばして行動を開始する。この時点でもう眠りにつきたい。枕元においてある基礎体温計を手に取り口に含むと舌の裏に当て、体温を測りながらスマホSNSをチェックする。

基礎体温の変動にはある程度の確かさのようなものが存在する。そのことは私にとって新鮮な驚きだった。毎日コツコツでしか得られない見地があり、小学校の朝顔の水やりをもう少し真面目にやればよかったなと思うのはこういう時だ。私は何かを続けることが昔からそれほど得意ではない。

机の上のノートをひらき「今日の懸念事項」と書いてみる。その日心配していること、不安に思っていることを書けば少しはやわらぐかもしれないと思ったからだ。

「念」の字を間違えて「命」と書いてしまう。懸念事項は「懸命事項」になる。ふは、と私は笑った。懸命になってどうする。それは今時の言葉で言うならサステナブルではないだろうに。「命」の字をぐじゃぐじゃとボールペンの黒で消すと、書き損じの糸屑の上に「念」と書き直す。懸念していることを書く。今日だけのことなのでとりあえずそれを乗り越えればあとは安泰。大丈夫、初めてのことじゃない、今までもうまくいっていたのだからきっと大丈夫。念ずる。

 

綱を渡るように神経を張り巡らせている。いつ溢れてもいいように。溢れたらすぐに気づけるように。細かく細かく。それが最近の私である。