メモランダム vol.2

ゲートボール

広場の片隅でゲートボールに興じる人たちがいる。今日も陽ざしが強い。暑くてこれではやってられないと、木陰のベンチに腰掛ける。こつんこつんとボールを打つ音。笑い声も聞こえる。私は何をするわけでもなくスマホを操作し、上着のポケットにいれている文庫本は取り出す気になれない。帰ろうと意を決するのにしばらく時間がかかった。日がさらに高くなってきていいかげん後頭部があったかくなってきたところでようやく立ち上がり歩き始める。そういう休日も悪くないのだけど。悪くないのだけど、ちょっと不足。少し疲れが残っている。

 

手首

羽織った上着の袖のボタンをパチンと外し、一、二回巻く。むきだしの手首をひんやりとした風が撫でる。春であるなあと思う。新しく買ったパーカーはボタンがまったくもって明白で、留めるたびにパチンパチンと鳴るところが気に入っている。

 

烏龍茶

コンビニでサントリーの烏龍茶を買う。本当は買いたくなかったのだけれど喉が渇いていたし仕方あるまい。冷えた烏龍茶は無論美味しい。烏龍茶の個性は飲むと口の中がしぱしぱすること。嫌いではない。大概のお茶は好き。なんだっけ、麦茶に砂糖を入れる地域があるとかないとか。紅茶に砂糖を入れるなら麦茶も入れてよかろう、烏龍茶にも入れていい。夏の暑いときに砂糖入りの冷えたお茶を飲むのは美味しそう。そう思うと今から夏が楽しみ。いつだってちょっと先の未来を漠然と楽しみにしがち。

 

いつか、また今度

撮り溜めしていたアニメ『平家物語』を見る。第二話。祇王や徳子とびわの約束。「いつか、また今度」が何度も交わされる。確かめるように繰り返し。いい言葉だと思う、いつか、また今度。予告映像をもう一度見返す。ごめんなさい。ありがとう。いつか、また今度。言葉が絞られていて尊ばれている感覚。普段生きている中で、これほどの重みを言葉に与えられるだろうか。第二話もとても良かった。