ジョグ vol.5

 久々に走る。それはそれはゆっくりと走る。何も希求することのないジョギングは凪そのもので、走って良かったなあと思いながら帰路につく。

 今読んでいる本(『言語が消滅する前に』)にハンナ・アレントの言葉を引っ張るところがあって、孤独(ソリチュード)と寂しさ(ロンリネス)の違いについて語られている。曰く、孤独とは、私が私自身と一緒にいられることだ、ということであった。読んでいて「わー」となった。その通りだと思った。様々な孤独があると私は思っているけれど(それは哲学的に良いのだろうか、唯一絶対的な孤独の定義というものがあるのだろうか)その中でもなかなかの定義だ。走るとき、私は私自身と一緒にいられると感じる。あるいは一人でどこかに行くときとか。私にはたぶん、孤独の才能がある。

 書いてみたいものがある。ある程度の長さになればいいなと思って、少しずつ少しずつ、書いていくつもり。「少しずつ少しずつ」に悲観することなく、むしろそれらを味わえる強さを。ジョギングには何も望まないが、積み重ねることのできる強さは欲しいかもしれない。まあ、欲しいと思ったものは手に入れるさ。