発明

「絶望がまるで血のようにだらだらと体の外へ流れていくみたいだ」というのは、川沿いの冬の桜の並木を歩いていたときにひらめく、私の中のささやかな発明。それが正しいのか正しくないのか、新しいのかそうでないのかは二の次で、「お、いいね!」と思えるかどうかが大事です。血は赤いけど、絶望は半透明の黒色で、流れ出ていくならつまり自分の中の絶望の総量は減っていくから良いことなのでは、いやいや、留まるところを知らないというのは問題ですよ云々、考えながら歩いていたら、仕事という行き止まりにぶつかって中断されてしまった。