自分の声が嫌いだった。自分の喋り方はそれ以上に嫌いだった。今もその考えに変わりはないけれど、最近独り言をボイスメモに録っている。そして録るだけじゃなく聞き返すこともあるという、驚きである。
ラジオ感覚で自分の語りを聴く。嫌いな自分の声。嫌いな自分の喋り方。知っている内容。だけど、ここで面白いことがひとつある。それは、自分が語るときの逡巡、言葉の選び方、表現の仕方、何を語り、何を語らないのかという取捨選択が、音声上には乗っからないということだ。もちろん、不自然な間から、たどたどしい物言いから、推測できるものはあるけれど、話すときに私の中で起こっている思考は声には完全に乗ることがない。なるほど、私の語りはこういう風に聞こえるのか。率直に面白いと感じる。
声も喋り方も嫌いだが、それは手で書く文字と同じではないかということも考えている。つまり、ある程度矯正可能ということ。時間をかけて自分の書く文字をそれなりに読めるようにしてきたので、嫌いな声も嫌いな喋り方も変えることができそう。今後の挑戦かなと思っている。
