約束

 元気なのだけど元気になりたいと思うのは元気じゃないということだろうか。元気なのだけど。

 色々考えて遊びに行く約束を取り付けた。約束した途端、泥を飲み込んだように憂鬱になった。私はひとりが気楽なのにどうして遊ぶなんて言ってしまったのだろうと、後悔すら覚える自分にまた嫌気がさす。遊ぶことが億劫というよりは、イベントがあるということが(そしてそれはおそらく楽しいということが)負担なのだと思う。そして、自分ひとりで状況をコントロールできないということが、私を不安にさせるらしい。自分ひとりならばいくらでもどんな状況でも打開できるし、それを楽しむことができるのだが、人を巻き込むとその相手の性質だったり心情をひたすら伺いながら行動してしまう。相手にもポジティブな気持ちでいてほしいから、私なりに(成功しているかは別で)尽くしてしまう。ああ、ひとりになりたいと思ってしまう。

 今回の約束は、私の希望と相手の状況を合理的に考えた上で最善の選択だっただろう。でも、私はその休みの日、自分ひとりで気ままに出かける未来もありえたはずだ、それができなかった、何故ならそれは私一人の幸福だから。

 元気になりたいと思う。元気だけど。少し心が揺らいだときは、自分が安定していたときの言葉なり写真なりに触れ、書き出してみると落ち着くときは落ち着く。落ち着けるのは私が元気だからで、元気ではないときは戻りも悪い。やっぱり今日は元気なのだろう。まだ戻ることができるのだから。

 

 この写真は先日訪れた駒込にある六義園のモミジ。都内の庭園はだいぶ回ったのだけど、今のところ六義園が一番好き。