ふるふるの接近

 散歩。色々と重たいがそこは堪えて外に出る。南から風が吹いている。涼しく良い心地。ポシェットに二百円玉が入っている。二枚の硬貨をじゃらじゃらと弄ぶ。自販機一台目。500mlペットのふるふるグレープ味らしきものが。でもなあ、500mlじゃなくて250mlくらいの缶のグレープのふるふるが飲みたい。見送る。二台目、三台目、ない。自販機を中継ポイントとして私の散歩は続いていく。私の「推し」マンションは今日もいい感じに建っている。カーテンが引かれていない部屋がいくつもあるが、地上から見上げても室内を覗くことはかなわない(覗きたいわけでもない)。エレベーターのない五階建てのマンション。四台目、ない。最後の五台目もない。節電のためか、近づいても自販機の中は暗いまま。ふるふるでなければ嫌なので何も買わずに撤退することにする。今日が人生で一番ふるふるが飲みたい日だったが、そうそう思い通りにいくわけがない。次、ふるふる飲みたいが大接近するのはいつになることやら。