ゴルフクラブ

 剥き出しのゴルフクラブ(ドライバーではなかった)を肩に担いだおじいさんが目の前を通り過ぎた。それはよく晴れた休日の朝で、背景にはっきりとした青空が広がっていた。おじいさんのゴルフクラブを見た私が最初に思ったのは「あ、これ、人を殺せるやつだ」ということであった。

 私にとってゴルフというのは「みんなのGOLF」か「マリオゴルフGBA」で(マリオ~はいいゲームだった)ゴルフクラブはサスペンスドラマに登場するアイテムで(広々としたリビングのドア横のゴルフバッグに入っている)要は、実際にゴルフというものに触れたことがないからこそのイメージに過ぎない。おじいさんは、散歩のお供にゴルフクラブを持ち出し、大方その辺でスイング練習でもする(してきた)のだろう。それはわかっている。理屈としてわかっていても、イメージが先行し、素朴にゴルフクラブにぎょっとしてしまった。ちなみに、分厚いガラスの花瓶も同様に怖い。