感性

昔読んだ小説の中で、己の感性に自負を抱いている人間が主人公の話があって、それを読みながら感性について考えたことがある。

少なくとも私の中で感性というのは「限界」であり、意識しないほうが自分の調子が良いと思う事柄である。自分の感性は良いのか悪いのか。いいや、感性に良し悪しや高さ低さはあるのか。それを考えることに意味はあるのか。私は無いと思っている。だから考えない。自負も抱かない。

感性のユニークさよりも、感性を個人の中でどれだけ尊ぶのか、その度合いの違いと、感性をいかにして表現するのかという方法や技術の違いと、表現に対して価値をどれだけ抱くかの違いの方が大きいのではないだろうか。人間それぞれ別の生き物なのだから、感性が違うのは当たり前で、それを表現しないと気が済まない人間かそうでないかの違いなのだろうと思う。

私は自分の感性を高めたくて生きているわけではない。ただ感じたことをさまざまな角度で再考、吟味したいだけで、本当にそれだけなのである。