右から左へ

風が強い日だった。風が強いということは波が起こるということでもあった。北から風が吹きつけてくるのを頬で感じながら川を眺めていると、波に揺られてぷかぷか、ぷかぷかと、鳥(カモの類)が右からフレームインしてきて、そのままフレームアウトしていった。あまりに無気力、そして他人任せな流れっぷりで(この場合の他人は「波」になる)スマホを横にしてビデオ撮影していた私は、録画停止ボタンを押すや否や「ぷはっ」とひとり笑った。

撮影したことを忘れていた。カメラロールにある動画を再生すると、やはりあのとき見たままの鳥の川流れを見ることができ、親指と人差し指で動画を拡大縮小しながら、やはり心の中でげらげら笑っている。疲れたときの癒しになること、間違いない。こんな感じでいいんだよな、と思える。気楽にいこう。