タコライス

 タコスミートのキットを使ってタコライスを作る。冷凍されたキットを開けると、小分けにされたソースと、一緒くたに凍らされた(凍らされたとはまた不思議な響き)ひき肉やらトマトやらアボカドやらが入っていて、具材はレンジで半解凍したものをフライパンで炒めて、ひき肉に火が入ったらソースで味をつけて完了。器に盛った炊き立てのご飯の上にちぎったレタスを敷いて、その上にタコスミートをのっけて完成。さらに温泉卵を載せれば完璧だったのだけど、あいにく私は温泉卵の作り方がわからないし、ゆで卵の作り方すらわからない(茹でればいいというのはわかっているけれど)。仕方なく不完全タコライスでやっていく。ちゃんとおいしい、だいぶおいしい。チリソースの辛みに、レタスのしゃきしゃきとした食感とご飯のほわほわのバランスが最高で、おいしいものを食べるっていいなあと思う。もちろん普段もおいしいものを食べてはいるけれど、この場合の「おいしいもの」というのは「いつもとは違うおいしいもの」なんだなと、この文章を書くことで初めて気づく。週に1回ずつペペロンチーノとクリームパスタと鍋焼きうどんをそれぞれ食べているのでは得られない見地がある。多分、限りなく透明な食事(ペペロンチーノ他)と、イルミネーションみたいに明るくてきらびやかで珍しい食事(タコライス)のバランスをうまいこと自分の中で探せばよくて、恐れなければならないとしたら、透明な食事9999に対して、イルミネーションな食事が1みたいな、極端な比率になることだろう。私は食欲旺盛だし、それなりに食べ物への好奇心はある方だと思うが、それ以上に面倒がったり疲れて無理となることもあるので、意識的に、そして程々に、新しい気持ちで何かを食べようとした方がよさそうだ。ああ、ケバブ食べたい。