鬼ごっこ

 夢の中で鬼ごっこをしていた。

 私たちはとても身軽で、ビルとビルの間も飛び越える。

 何故鬼ごっこをしているのか、そもそも鬼は誰で、何のために逃げているのかわからない。いや、逃げるだけではない、私たちは何かに追われつつ何かを追いかけている。鬼ごっこというよりはサバイバルと形容した方がいいのかもしれない。

 逃げながら、追いかけながら、飛びながら、私はえいやっと何者かに襲い掛かる。相手の首を掴むと両の手で首を絞めにかかる。殺しはしない。無力化させるだけ。夢の中の私は理性を保っている。ただ、無力化させる。ぎりぎりと力を込めることを考えているうちに、相手の体から力が抜けた。そこで夢から醒めた。