20220902

伊勢神宮

伊勢神宮に行こうと思ったのはただただノリだった。信仰心も持ち合わせていないし、一生で一回くらい行くことができればいいなという程度のものだ。寺社仏閣のあの空間の雰囲気が好きなだけの人間である。

電車に乗ることがまったく苦痛ではない(今のところ、だが)。なので朝5時に起きて、6時の電車に乗り、三重をひたすら南下する旅となった。大体3時間の電車旅だ(そもそも「西」へやってくるのに3時間じゃきかない時間、電車に乗ってきたのだ。私としては「ちょうど良い」よりちょっと長いけど問題ない長さである)。

平日ということもあり、また別路線も走っていることから、主要都市を過ぎると乗客はめっきり減る。独特の、西は山、東はおそらく海、の平野を電車がひたすらに走っていく。田園風景が頭の中を流れていく。

伊勢神宮は外宮(げくうと読む)と内宮(ないくうと読む)、あとは別宮などなどのまとまりであり、外宮から参拝するのが通常ルートらしい。なお外宮と内宮は5kmくらい離れている。

格は内宮の方が上らしい。天照大神なので。天照大神というとパズドラの方がイメージが先行してしまっていて(アマテラスというキャラがいるので)内心にがわらいといったところか。勉強しなければならないとはわかっていながら何もできていない。

それはさておき。

これから行く人や行きたいと思っている人もいるだろうから冷めたことを言うのもなんだが「どうしていいかわからない」というのが率直な感想だ。伊勢神宮に限らず、それなりに大層な物事に対して感動した方がいいと思いつつ、何にどう感動すればいいか、わからないという感覚だ。もちろん私なりに存分に楽しめたのだが、一般的に言う「伊勢神宮だってばよ」みたいな、テンションの高さにはならない(そもそも他の人は伊勢神宮をどう捉えているのだ?私はこの国において歴史的においてもそれなりに重要な場所だと思っているのだが)。

伊勢神宮で、おお!と思ったポイントはいくつかあって、その中でも

  1. 式年遷宮
  2. 石段の石がたぶん良いところの石(翡翠色が混じってる)
  3. 動線がきっちりしてる
  4. 五十鈴川

は、おおお!となった。

式年遷宮については、外宮内宮だけだと思ってたら、別宮でもやるらしい。

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これは別宮の風日祈宮だが(外宮、内宮は明らかに撮っちゃダメという看板があったが別宮はなかったので撮ってる。HPにも注意事項あり)おそらく手前のちょこんと立ってる小さな社の部分に遷宮するのではなかろうかと思うのだが、私はこの小さな社が気になって仕方なかった。その理由はうまく言葉にできないが、石の文化ではなくどちらかと言えば木の文化であろう日本ぽさを式年遷宮に感じた。基本的に「ずっとずっとそのままで」がない国だよなあと思う(燃えたり流れたり飛ばされたり)。造りも他の神宮とは違うようで、建築的な観点としても相当面白かった。なんというか、慎ましい。

元々そうなのか、現代に至る過程でそうなったのかわからないが、域内は割とバリアフリーである。内宮は石段を上がったところにあるし、他の別宮もそういうところがあったけど、それでも「石段率」は低いと思う。そんな石段だが、大きくて平らな石がきちんと積まれていた。濡れればそりゃあどんな石段でも滑る危うさはあるわけで、伊勢神宮においても同じであるが、石が良いところでありそうな気配はした。翡翠色が混じってるようで角度によっては翠っぽく見える。

動線。そう、ルートはほぼほぼ固定化されていた。立ち入り禁止のところにはロープが張られていて(それは当然なんだけど)進めない。神社や寺によっては境内は道がさまざまに広がってて敷地の広さに対して歩数が明らかにおかしい、めっちゃ歩かされますが!?というところもあると思うけど、伊勢神宮、そこは厳しい。寄り道できない。ルートがほぼほぼ決まってるので、参拝者が流れる水のようになってた。興味深い。

内宮は五十鈴川を渡らなければならない。川好き人間歓喜のひとときである。

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(これは別宮に向かうときの写真)

綺麗な川を見られれば大体満足である。

他と同様にお清めをするかと手水舎に足を運ぶと「五十鈴川増水のため、お清めはこちらで」云々な看板があり、驚いた。つまり増水してなかったら、五十鈴川で清めることもできるのか(後で調べたら「御手洗場」がある)。今回は残念ながら川へ下りることは出来なかった。伊勢神宮の特に内宮にとっては「川」というのはめちゃめちゃ大事なものなのだろうと思った。

伊勢神宮雑感としてはこんなところか。外宮と内宮は距離が離れてるので大概の人はバスなどを利用すると思うのだが、5km?1時間?歩けるだろ、と思って歩いたら痛い目を見た。暑い。ありえないほど汗をかいた。水分と糖分(飴)を欠かさないようにしてたので倒れはしないけども、暑ければ歩かない方がいい、もっと涼しい頃に行きたかった。途中で見つけたすき家で腹ごなし。旅情のかけらもない食事風景だこと。熱中症が怖いからと、ねぎ塩レモン牛丼(期間限定)にした。だったらバスに乗れば…というツッコミはしないでおこう。レモンの酸で少しでも疲労回復を、と思うも虚しい。

 

鳥羽水族館

早起きかつ道中も滞りなく順調、の結果、鳥羽まで足を運べそうだったので急いでバスや電車の時間を調べる。

鳥羽の駅を下りるとすぐに独特な雰囲気であることが感じられた。数時間しか滞在できないのが残念である。またの機会に、とは思いつつ、実際そういう機会が作れるかというとわからない。10分程度歩けばそこは水族館で、チケットを買い館内へ。

鳥羽水族館は順路がない水族館だという。それならばと、マップはもらいつつ完全に動物的直感で回ることにする。平日で人も程よい数、タイムリミットは迫っている。てきぱきと回る。

印象に残っているのはミシシッピーワニか。大きいのと小さいのがいて、小さいワニは水面から顔が出ている。目が宝石のように綺麗だった。

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魚などの水生生物が好きというよりは、水族館という空間が好きなのだろうと思う。魚の名前は覚えられない。

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アザラシ。

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電車の車窓より。

 

なかなか充実した内容で、本当に楽しかった。嫌なことはなにも考えなかった。これを経て、いかにして日常に軟着陸するか考えている。忘れないうちに起きたこと見たこと考えたことを記しておかねば。