買収

私も買収されることがある、過去の私にだけど。

走りたくないなあとか、泳ぎたくないなあとか、そういう日が生きているとたくさんあるわけで、そういうとき、私は私をコンビニのおにぎりで買収する(なにしろ私はおにぎりが大好きなのだ!)。買収するときはできれば値段が高めはおにぎりだといいけれど、そうでなくてもいい。

私はおにぎりを買う。未来の私を買収するために。

「泳ぐの怠いなああああああああ」と喚く私に、過去の私が「あのときのおにぎりを忘れたのですか」と囁いてくる。そうして私は「ちっ、無慈悲な…!」と舌打ちしながらプールに向かったりジョギングの為のウェアに袖を通したりするのだ。

と、今日逮捕されたどこかの紳士服の元会長さんたちとは規模が違って(収賄罪になるのだろうか)私は私でそうやって楽しく生きている。誰にも迷惑かけずに、誰とも関わらないからこそフェアですらなく。