コロナ日記 vol.1

2022年7月15日(金)

夜、体温37.1℃、喉の痛み。寝る。

2022年7月16日(土)

朝6:00、体温37.5℃、喉の痛みに加え、鼻水。風邪をひくときは大概鼻風邪なのだけれど、今回はくしゃみがあまり出ない。それよりも喉に鼻水が下りてくる感覚がして、不快。なんだかなー、と首を傾げる。関節痛・筋肉痛も出てきた気がする。寝るのがつらい。されど寝る。起きたら少しは良くなっているといいな、という願いを込めて。

朝8:00、体温38.5℃、コロナワクチン以来の体温。喉の痛みはあるけれど、鼻水は収まった。代わりにニューフェイスの頭痛と筋肉痛・関節痛の勢力が増す。それほど暑くないのでエアコンではなく扇風機を稼働しているが、扇風機の弱風が皮膚に当たると痛い。あらまあ。

病院に行けという達しが来たので、嫌々病院を探す。ビュッフェ、苦手。バーゲン、苦手、需要が過剰なところに足を踏み入れるのが苦手。この時期の病院なんてまさにそれでしょう? という気乗りしない感じ。嫌々ながら8:30頃に近所の病院に電話したところ、指定した時間に来れば診てくれるとのことなので病院に行くことになった。運の良さ、行動力、それらで運命が篩われている感覚を味わいたくはなかった。実際はそうなのだけど、それを感じたくなかったという、理想主義者の戯言。電話した時、何回か掛けたがつながらなかった。私の他にも問い合わせしている人がいるのだろう。

朝9:30、病院、抗原検査。受付で申し出るとすぐに別室に通される。クーラーの霧ヶ峰が全力稼働していて、窓が開けられている。換気大事。鼻の粘膜?を採取。この検査苦手だ。結果がわかるまでに15分ほど時間を要するということで待ち。本を持ってきていなくて手持ち無沙汰である。スマホをいじる気分にもなれない。全力稼働のエアコンの風が体に触れて痛いし、寒い。半袖一枚でのこのことやってきた私の落ち度であるが、夏に「空調効きすぎて寒いのだが?」と思ったことがない暑がり人間なので油断していた。頭が痛い。筋肉が痛い。パーテーションで区切られたブース。私の隣のブースでは、おそらく高齢の女性だが、ふたりできゃあきゃあ喋りながら身長と体重を測ってもらっている。大腸がん検査? と聞こえた。

しばらくすると男性の医師がファイルを持ってやってきた。「陽性ですねー」ということ。驚きはしないが、「面倒だな」と思う。とても面倒だ。この後やらなければいけないことが頭の中で弾ける。それらが及ぼす影響を想像するだけでうんざりだった。「健康でない」ということは、面倒ごとが増えるように思える。そう思ってはいけないのだよな、という自己ツッコミも空しい。

解熱剤と喉の薬と鼻炎を抑える薬をもらう。解熱剤はカロナールである。ここまでで大体10:00。迅速に診察を受けられたのは良かった。

仕事関係の連絡。最終出勤日はいつで、症状が発症したのはいつで、というのを事細かに連絡する。報連相ってやつだ。でも自分のプライベートなところを明け渡す感じがして若干の抵抗がある。仕方ない。仕方ないのか? 仕方ない、のか。お大事にするよう連絡をいただく。私はここで「お騒がせして申し訳ありません」「ご迷惑おかけして申し訳ありません」とは絶対言わないと決めていた。いざ、自分が新型コロナに罹患した時は。迷惑だなんて、本人から言うものじゃない。他人が言ってきたところで「知らねえ」と突き返す、そんな気概を持ちたいのだ。

本音を言えば、こういうことがあるから、関係あるつながりをできるだけ絶ってしまいたかった。迷惑をかけなくて済むから。私は、迷惑をかけないように生きなければならない、と思っている。それは「迷惑をかける」ということが自分にとって非常に負荷の高いことだからだ。迷惑をかけないように運動もしている。病気にならないために。迷惑をかけないように貯金もしている。相手に借りを作りたくないから。他人が(主に家族だが)干渉してこない領域では好き勝手に生きているが、その外を出れば、私は様々なもので自分を縛っていることを知っている。まあ、そういうことを考えて、気分は良くなかった。

昼の12:00頃、諸事情があって宿泊療養を考えていたのだが、管轄の保健所につながらない。というか土日はやってないのでは疑惑。陽性者への連絡は市区町村ではなく上、都道府県管理となっているらしい(私の住む自治体は、だけど)。都道府県の窓口に電話して聞いてみようと思ったが、面倒になってやめた。そのうち連絡が来るだろうから、その際に聞いてみよう。でも隔離機関が終わってしまいそうだ。

熱、39.3℃。インフルエンザぶりだろうか。体温が高い割に体はきつくない。ということでこの文章をカタカタ書いている。

こういう非常モードの時、食べることについての執着がなくなる。薬を飲まなければならないというだけの理由で、明太パスタを半分体に流し込む。残り半分は、あとで食べよう。冷えて麺が固くなったパスタはなかなか厳しいものがあるが、カルボナーラでなかっただけ良しとしたい。生きるために、生き永らえるために、食べるモードになる。

16:45頃、SMSで健康管理の案内が来た(普通に迷惑メールだと思った)。My HER-SYSというシステムでIDが割り振られ、そこで健康状態を記録していくらしい。

頭が痛い。熱は下がらない。38.8℃。解熱剤を飲んでいるのに。ただの風邪ではないのは瞭然であろう。横になっていても接地面積が広いからか体が痛むので、椅子に座って机で作業をしている。調整調整調整の連続。熱が出てるのだから頭を使わせないでほしい、と思ってしまった自分がいる。

他者に自分の身を委ねるということが苦手だ。

18:36頃、宿泊療養の際は仕事できませんので休みます!という調整が終わる。宿泊療養ができるかはわからない今の段階で、荷造りをしておくか。本をたくさん持っていこう。パソコンも。いい機会だから読めていない本を読む時間にする。ここ数年「ホテルに泊まりたいな~」と思っていたことが、思わぬところで叶うかもしれない。さっさとコロナを撃退して本読むぞ~~~(元気になる)。

19:14頃。熱39.0℃。下がらないねえ。何もする気にならない。

20:28頃。熱38.6℃。少し楽になってきたか? 体の倦怠感と筋肉痛に波がある。

 

新型コロナに罹って思ったこと

 医療リソースを自分が消費する、ということに躊躇いがある。私「なんか」が、と思う。つまり自分を大切に思えないということなのだけれど、それはどこからやってきた感覚なのだろう。とはいえ、思考は長くは続かない。何故なら新型コロナウイルスはただの風邪ではないからだ。今は落ち着いたけれど、ピークになると何も考えられないし、眠ることもきつい。思考が「散文」的になる。それじゃあ、普段の日常と変わらないな。せっかく家でゆっくりできるというのに。

 

 多分この休みで色々なことを考えるだろう。それが今から楽しみ。