ふらふら

 買い物がてら夜の散歩。空気が止まっている夜。街灯の垂直降下するまっ白な光。お供にはサカナクションを。「僕と花」を口ずさみながら歩く。

 僕の目ひとつあげましょう だからあなたの目をください まだ見たことのない花 新しい季節を探してた 

 ひどく眠たい。ドラマ『SPEC』のサトリ(星彗)を思い出す。彼女のSPECは人の心を読む力だ。でも思うのだけど、人の心(思考と置き換えても良い)は読み取れるほど整然としているのだろうか。私の思考はとりあえず文章の体を成していないぞ。おそらくイメージのような抽象的な形でしまわれていて、言葉であってもせいぜい単語レベルだ。「ちょー眠たい、帰ったらさっさと寝なきゃな」なんて文章は私の中にはない、気がするのだがどうだろう。心を読む、というのがどういう機序なのか、気になる。

 貧血気味だ。首から上がぼうっとしている。眠たいのか血が足りていないのか。いや。どっちもか。ふらふら、ふらふら歩く。店でボールペンの替え芯とマーカーと鉄分補給の為に飲むヨーグルト、カルピスの原液を買う。明日はサッポロ一番(醤油味)を食べよう、と思う。

 とあるキャラクターの言葉に「お酒は飲みませんねえ 既にこの世に酔っておりますゆえ」みたいなのがあったと思っていて、確かに酔う必要なんてないんだよな、どうして人間は酒を飲む生きものなんだろうな、ふらふら、いや、これは帰ったら速攻で寝ないともたないわ、明日休みだからいいけどさ、と考えているうちに家に着いた。