効果的なアラームの使い方

 風邪なのか鼻炎なのか、くしゃみ鼻水でずびずびしている。ごろごろして目も潤む。通称「寒暖差アレルギー」が濃厚だけれども風邪かもしれない。ずびずびごろごろ。さらには、昨日たっぷり筋トレをした所為か、腰回り含む体のあちこちが筋肉痛である。筋肉痛は嫌いじゃないのでいいのだけれど、ずびずびごろごろに加え、からだの痛み。もうこれは何もする気になれないので、布団を被って先日古本で入手した江國香織の『落下する夕方』を読むことにする。そういう時間の使い方を発明したのは小学校三年生ぐらいか、しかし、そういう風に本を読むのは久しぶりな感じがする。家で本を読むのは他の得意なことに比べると得意ではない。集中力も続かない。電車で読むならずっと読める気がするのに、家で読むときは読めそうにないという感覚が強まる。なんにせよ読み始める。窓の外ではちろちろと光が揺れている。

 iPhoneのタイマーを15分にセットしてページをめくる。きりの良いタイミングで飽きたなと思ってiPhoneを見ると、残り3分42秒だった。飽きたのでYouTubeの動画を見ているとアラームが鳴って、仕方なく動画の再生を止めると、また15分にセットして小説の続きを読む。それをもう一度繰り返すと、そもそも調子が悪いならまずはひと眠りした方が良いのではということに気づく。ならばと、今度は20分にセットして首まで布団を引っ張り上げると目をつぶる。と、すぐにアラームが鳴ったので(どうやら睡眠を欲していたみたいだ)もう一度20分にセットし直して眠った。あっという間にもう20分が過ぎた。起きた。起きた頭で思ったのは「効果的にアラームが使えていたな」ということだった。半袖にパーカーを羽織って宅配物を開封しているうちに、ずびずびごろごろが治りかけていることに気づく。素敵な休日の午前。その締めくくりに、ふわふわのホイップクリームが詰まった、そしてチョコレートでコーティングされたデニッシュを食べた。私は「完璧な休みだ」とは言ってやらないけど、悪くない。まったく悪いことではない。