スケッチ vol.2

 寝ーちゃお、と思って15分くらい寝ようと思ったら、そのまま朝になり連休に突入していた。色々な夢を見た記憶はあるけれど、凝りもせず緑豊かな場所を歩いていた。右に進めば標高の高いハードな山へ(しかし多くの人はそちらの道を選び、遠くには登る人々が列をなしているのが見える)もう一方は駅の方へ。私は帰らなければならないと駅の方へ向かう。葉が落ちたさるすべりの林を通り過ぎる。皮が剥がれ、なめらかな樹体。一本一本が骨のようで、それはもう骨の森みたいだった。が、不気味な気配はない。むしろ安らかで敬虔な静かさを湛えていた。駅の近くはゴーストタウン化していて、不良の少年たちが自転車やらバイクやらで爆走していた。歩いていて邪魔だった。絡まれた気もする。うるせーよと思った。途中で怪しげなジャンク屋に入り店をあとにすると、そこはとても広いショッピングモールだった。とてもクリーンな空間。無機質に掃き清められた場所。人々が蠢いていた。今の私に買うものはない。夢の記憶はそこまで。

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 長い休みが苦手なのでは、とふと思う。日常に戻らなければいけない、それが苦痛、というのもあるのだけれど、多分「なにかをしなければならない」という感覚との相性が悪いのだ。「なにかをしなければならない」というのは他者によって駆動されるものではなく、他ならぬ私が私に命じていることで、「誰かの為に」なにかをしなければならない、とか、「自己存在を証明する為に」なにかをしなければならない、という感覚は皆無だ。じゃあ、私の「なにかをしなければならない」は何かと言うと、「人はいずれ死ぬのだから」なにかをしなければならない、に他ならない。人生は限りがあるんでしょ? じゃあ、何かしないと勿体ないじゃない! というロジック。まあ、一方で、「結果的にできることしか人間はできないのだから、できなくても仕方ないよね」という考えがブレーキになっていて多分私はバランス良く生きている。平穏無事に過ごしている範囲では、だけど。

 で、休みが苦手という問題。多分この休みも後半に近づけば近づくほど、花が萎れるように私は元気がなくなっていくでしょう。だから予想されるそれをどう対処していこうかというのが懸案事項。ちなみに、一週間以上前に買ったミヤコワスレは、毎日水の中で茎を切るようにしていたらちゃんと花を咲かせている。しおしおと生気が失われた花びらも、茎を切ってしばらくすると花ひらくのが興味深い。事務用の普通のはさみで切ってたけど、やっぱり花切りばさみがいいということであとでホームセンターに行こうと思う。やることができた、やったね。私にとっての「水」は何だろうか。あるいは「はさみ」について考えた方がいいのだろうか。

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 ポケモンコダックが可愛すぎて一人でとろけている。久々に粘土を引っ張り出して、あせあせとコダックをつくる。納得のいくレベルまで作れるようになりたいので、しばらくはコダックばかり作ることになりそう。

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 眠たいので昼寝をする。海の夢を見た。海へと続くトンネルのようなものを抜けて(そのトンネルは薄暗く赤いライトでぼんやりと照らされている。クランクになっていて、進んで曲がって進んで曲がる。一人の女と通り過ぎた。海岸からの歓声が聞こえる)海岸に出ると、時刻は夜に近い夕暮れ時。世界が紫水晶の色をしていて、人々は何かを待つように海の方を見つめている。と、ライフガードのような人たちが巨大なカーテンをどこからか引っ張ってきて、海岸を分断していく。夜間帯は海に近づけないようにするものらしい。これでは海岸に閉じ込められてしまう! と急いで引き返す。その途中で急いでコンデジ紫水晶の空を撮った。あとでプリントアウトしなければ、と思ったところで目が覚めた。

 目が覚めていちばんに思ったのは「雨が降っている」ということで、にばんめに思ったのは「甘いものが食べたいな」ということだった。雨音が聞こえる。ある程度の重さを持つ雨が特に好きだ。霧雨はつまらない。豪雨は不安になる。甘いもの。家には甘いものがないから自分で作るか、と、ネットで検索してオートミールで蒸しパンを作る。初めてにしてはなかなかの味。オートミールの香ばしさはクッキーにしてもおいしいはず。そのうち作ってみよう。

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 スーパーのある方向からこちら側へ、おじさんの乗った自転車がやってくる。かごには大容量タイプのウイスキーが入っている。すごいな、あの量を酒飲みは飲むのか(もちろん「一度に」ではないだろうが)。大容量タイプの酒を買う人生は今のところ私にはない。もしかしたらこの先あるかもしれないけれど、まあ、おそらくないだろう。

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 漢字ノートを買う。漢検勉強に使うつもり。