アーケードゲーム

その日の締めくくりに何かスカッとするようなことをしようと思ったので、私はゲームセンターに赴く。ゾンビでも恐竜でも蜘蛛でも蛇でも撃てればいいなという目論みだ(いわゆるシューティングゲームってやつですね)。ただシューティングゲームにこだわりはなく、スカッとできればそれでよくて、マリオカートでもよかったし太鼓の達人でもよかった。が。なんだか決めかねて、ゲーセンの奥の方は迷い込んでしまう。たくさんの機械がじゃらじゃら鳴っててうるさい。ゲーセンの奥の方のアングラな感じは嫌いじゃない。

と、隅っこの方に2台ほどバスケゲームの筐体がある。いいね。これをやろう。歩き疲れて足は痛いけれど、腕はとても元気だからちょうどよい。

1ゲーム100円。がちゃんと入れて、どらどらと流れ落ちてくるボールを私はゴールに入れていく。第1ラウンド目で既に二の腕が痛くて不安になる。バスケ部の人、すごいなと思い始める。バスケ部に入る人生もありだったなー、とパラレルワールドに思い馳せつつシュートしていく。何秒間遊んだか何点入ったか忘れたけれどクリアしたらしく第2ラウンド目も遊ばせてもらえるようだ。やったね。次はゴールが右に左にと移動していくので少し難しい。なんだろう、一人だと感情を消費しなくて済むな、と頭の片隅で考える。腕は、手は、ボールを掴んでシュートしようとする。感情を消費しなくていいということは、無理にテンションを上げなくていいし悔しがらなくていいしリアクションしなくていいということで、つまり「無」が許されているということ。その安心感たるや。それがポジティブだろうがネガティブだろうが、感情は疲れる。財布は取られないよう、荷物にも気を配りながら遊んでいたけど杞憂みたいだった。周囲に人は誰もいない。休日の夕方にゲーセンの隅で一人でバスケゲームに興じる自分のこと、私は好き。でも、それってどうなのだろうね、とも思ってしまう。

そうこうしているうちに第2ラウンド終了。どうやら点が足りなくて先に進むことは許されなかったらしい。機械は動かない。

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えー。なんか悔しい、悔しいな。

ということで、100円再投入。再び私はゴールとボールとに向き合う。ボールを投げるときに後ろに回転をかけたりして先ほどより心なしかスムーズにボールが吸い込まれていくような気がする。これなら第3ラウンドまでいけるのでは? 期待に胸が膨らむ。その結果、

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さっきより10点(シュート5回分に相当)しか増えなかった。何故だ。悔しい。

どれくらいの点数を叩き出せば第3ラウンドにいけるかわからなかったけど、よく見たら貼ってあった。

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えー、そんな無体な。150点という高い壁に私の心はぽっきりと折れ、悔しさはあるものの体を動かせた充足感もあり気が済んだので帰宅。というか、第1ラウンド突破の点数もちゃんと教えてあげなさいよ、と思った。おそらく50点だと思う。

時々思い出したときにタイミングが合えばアーケードゲームに興じるのも悪くないと感じた。スカッとしたいことは、人間だもの、そりゃあ、あるさ。