朝日

 朝。10分から15分の時間を使って少しばかり歩く。外に出たとき、あまりにも空が綺麗に思えたから。建物のかげから差し込む朝の日差しは鋭く、同時にやわらかい。もう少し、何のためでもない、自分だけの世界を味わっていたかった。

 黙々と歩く。

 生きることは昔から楽しくなかったなと思う。なんというか、根底にはいつも生ぬるい絶望があって、それは死ぬ理由にはなり得ないからなんとなく生きてきた感じ。とはいえ、楽しくないので意識的に楽しもうとした結果が今の私なのだろうと思う。おかげで、色々なことができて楽しい。例えば朝の散歩とか。

 果たして他の人はどうなのだろうと、ときどき思う。聞いたことがない。聞くことが許されている気もしない。他の人も同じような絶望を感じているのだろうか。それでも何食わぬ顔で淡々と生きているのだろうか。みんな、耐えられているのだろうか。信じられない!

 少しずつ日の入りが遅くなってきているのを感じる。春は近い。生に乗り続ける為、振り落とされない為に、それでも私はずっと書いていたいと、今、思うのはそれぐらいかしら。