dance

 散歩。ううう寒い、と背中を丸め上着のポケットに手を突っ込み不承不承歩き始める。

 今日は殊更に冷える、毎夜毎夜言っている気がする。そういえば今日は何日だっけ。2月15日? そんな馬鹿な。「そんな馬鹿な?」では、私は一体今日が何日であればよかったというのだろう。

 音楽を聴く。まずはヒプノシスマイク -A.R.B-(Divisions All Stars)より『Hang out!』を聴く。この曲は特にナゴヤとオオサカの音の乗りやすさが好きだ。気分が上がってくる。

 そうだ、スキップをしよう。そう思って人気のない道を私はスキップする。重たい。12歳の感覚でスキップしたら、想像以上にぐっと体が重たくて、まったく、年月の重みと、背が伸びたのと、筋量が増えたのと、そしてもちろんたっぷりと脂肪の重みが加算された重力。おとなしく歩く。

 スキップ。スキップといえば大塚愛の『Girly』だろと思って次はそれを聴く。仕事終わりの散歩で聴くにはいささか陽気すぎる。そして無邪気だ。でもスキップスキップららららら~と歌っているのでおとなしく聴く。

 そのうち私はダンスについて考え始める。そうだそうだ。まったくもってつまらない肉体。決められたレールに沿って動かされていく肢体。なんと窮屈なことか。スキップを最後にしたのは何年前。踊ったのは何年前。遠い遠い過去の出来事。

 そこでゲスの極み乙女。の『猟奇的なキスを私にして』を次は聴く。極力踊りながら歩く。腕をぶんぶん振ったり、ちょっとテンポをずらして歩いてみたり。遠くに飛んでみたり、くるっと一回転してみたり。なんだか体があたたまってきた。いいぞ。

 そのあとも私は様々な曲をラジオDJさながらかけていき、本日ラストの曲は女王蜂の『introduction』で終演と相成った。楽しかったので良かった。