海へ

 海へ。

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 波が寄せる瞬間、しゅわしゅわしておった。

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 ビールの缶をぷしゅーと開けてぐびりと飲むと美味しそうだなと思ったが、あいにく私は炭酸は飲めない。

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 角が取れすべすべと滑らかな石がたくさん転がっていた。そのうち、二三個よさそうなものを見繕ってジーンズのポケットにしまい込んだ。持って帰る。

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 「海を見ていると飽きないの」

 こんな言葉は、確か『孤独のグルメ』のドイツ料理回だったと思う。私も同感だ。海は飽きることがない。波は刻々と変化する。一瞬たりとも同じ時はない。海を対峙するとき、特に何かを考える必要がない。自分を貶める必要もなければ、他人のことを考える必要もない。海はそこにあり、私もここにいる。そんな感じだ。

 あの青い海の下には本当にたくさんの生物が漂っていて泳いでいて、そのことを私はとても面白いと感じる。土にもたくさんの微生物がいるわけだけれど、陸で町で生活している限り、生き物の存在は薄い。というか、そういう風に意識しないで生きざるを得ないということだと思うけれど。

 海に行くつもりはなかった。海を見られたらいいなとは思っていたけれど。その偶発性みたいなものが「旅」の醍醐味で、私は電車に乗って遠回りして、できる限り歩きできる限り休んだ。海を見ながら干物を食べ(泣きたくなるほど美味しかった)駅のホームでコンビニのおにぎりも食べた。

 

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 西日で金色に輝く海は、「神々しい」という言葉がよく似合っていた。