ロースカツカレー弁当

 思えば、CoCo壱番屋のカレーを食べたことがないかもしれない。いや、嘘。1、2回はあるかも。でもそれもいつかわからないほど前のことだ。

 CoCo壱番屋への不信の元凶は、メニューに添えられているカレーの写真で、もう少し美味しそうに、ボリュームありそうな感じに撮れないのか、と、私はいつも憤慨してしまう。そりゃあ、CoCo壱をわかっている常連さんはわかっているでしょうねえ、現物を食べているもの。でも私は食べたことがないの。食べたことがあっても、そのことを思い出せないほど前のことなの。つまり常連ではないわけで、果たしてCoCo壱初見の食欲をそそる写真なのか、あのカレーたちは、と、ぷんすかしていて、私は今日までCoCo壱を信じてなかった。が、結論を言おう、CoCo壱のカレーは美味しいです。

 気晴らしにCoCo壱でカレーをテイクアウトして公園のベンチでも見つけて食べよう、と思った。ピクニックはいい気晴らしになる。

 ロースカツカレー弁当を頼んだ。ご飯の量や辛さを選べて、辛さだけ1辛にした。辛いのは苦手ではない。あまりに辛いものは駄目だけど。

 

 季節はもう冬だった。公園のベンチに腰掛けると、太陽の光の温かさを感じる。ビニール袋からはほんのりとカレーの温かさも。これが半年後になれば25℃とかざらになるのだもんなあ、地球の公転、すごいや、と思いながら、プラスチックの透明な蓋を開けた。やや細く切られた一枚のロースカツにご飯にカレー。

 伊達に長くカレー専門のチェーン店をやってきただけのことはある(何様だという話だが)。カレーは好き、カレーのルーは結局何が入っているのかわからないから。奥深いということはわかる。複雑な味がする。でも、何がどうなってこの味になるのかわからない、見た目もぱっとしない、そういう、地味だけど美味しい、カレーという食べ物が、私は好きだ。ラーメンだとこうはいかなくて、なぜならラーメンは、それぞれが独立しているもの、に私は思えるから。

 ベンチの周りでは鳩がぐるぐると回っていて、残りのカツは一切れと半分だった。このカツを今すぐ地面に放ったら、はたして鳩はカツを食べるだろうか。それって、共食い? いや、ロースだから豚か。鳩って雑食だっけ。そんなことを考えていたら、鳩はどこかに消えてしまった。プラスチックのスプーンの上にはカツがちょこんとのっていて、私はそれを食べた。

 

 ロースカツカレー弁当、とても美味しかった。スープカレーというのが12月から期間限定で発売されているらしい。スープカレー、食べたことがない。そのうち、またテイクアウトをしようと思った。