悪い孤独

 ここ数日とても孤独だ。

 そう書くと「んんん?」と思われること間違いなく、私自身うまく表現できている気がしないけれど「ここ数日とても孤独だ」と形容するのがしっくりくる気がする。

 例えば、今これを書いている私はひどく眠たく、ちろちろと首にかかってくる髪をうざったく思っている(そろそろ髪を切りたい)。パソコンのキーボードを打つ指は手のひらはあったかく、その手を覆う空気はつめたい(だって冬が近づいているもの)。私はこのことを「孤独」と呼ぶ。

 私にとって孤独とは、もちろん「ひとりぼっちであること」という意味もあるけれど、それ以上に、人だけでなく、あらゆる有機物無機物が他者であるということ、私には関係のないものであるように思えること、面白くないものに思えるということ、だ。と言えば少しはかっこいいか。別にかっこよくはないか。

 生に集中していないことを孤独と呼ぶのは適切ではないかもしれないが、ここ最近の私はどうもぼんやりしている気がしてならない。そうだな、悪い孤独、と呼ぶことにしよう。良い孤独は悪い孤独の逆で、ひとりぼっちかもしれないが、自分なりに多少は冴えている状態を指す。絶望しつつもなんだかんだ面白いことを見つけられている状態。今日の私は体が重く頭が重い。明日はさっさと寝られればいいのだが。

 

パン、炒り卵、マヨネーズ、ケチャップ

 一枚板の木のテーブル、今日の朝刊

 パンがあり、炒り卵があり、
 マヨネーズとケチャップを混ぜたソース、そして私も、ある

 食パンにマーガリンを滑らせる
 焼きたてのパンは枯れ木のように軽く、なでたそばから油脂が沈んでいった
 私も同じくらい軽く、また乾いていればよかったのに

 ソースを塗って炒り卵をのせる
 食パンの端っこ、前歯でかぶりついたとき
 私の朝がはじまった
 音が聞こえた

 マグカップのインスタントコーヒーは
 底なし沼のような色
 気後れしそうになるからだを食パンが重しとなって、そして?

 テレビのニュースが煩い
 リモコンを手にとってボタンを電源ボタンを押した

 と、朝食もコーヒーも気づけばどこかに行ってしまって
 目の前にはただのテーブルと今日の朝刊