食パン、卵、マヨネーズ、ケチャップ

 白米が好きだ。そんな私は毎朝茶碗に一杯のご飯を食べていて、朝昼晩のどこかで万が一白米を食べられないなんてことがあったら、機嫌が悪くなる。一言で言って最悪だ。白米を食べられないことが最悪なのではなく、食べ物一つで不機嫌になる私が最低最悪ってこと。馬鹿げた我儘であることは承知の上で、やっぱり私はいつでもご飯を食べたい。

 無類のご飯好きだからパンを全く食べないかというとそんなこともない。パンも美味しい。パンも好きだ。特にたくさんの種類があるところがいい。手軽に買えてさくっと食べられる。そして美味しいパンを作るお店がたくさんある。ご飯だとそうはいかない。おにぎり専門店の数はパン屋さんよりはるかに少ないからだ。

 ただ、あくまで「おやつ」として食べるパンが好きで、食事としてパンを選択するのは稀だ。「ステーキセットはご飯かパンか、どちらになさいますか」問答無用でご飯です。

 普段の食事でパンを食べ慣れていない為、食パンをどう食べていいかわからないのだけれど(マーガリンを塗って焼いて食べる。霞のように体の中に取り込まれ搔き消えいまいち食べ応えに欠ける)マーガリンを塗って焼いて、そのあとにマヨネーズとケチャップを塗って食べたら美味しいことを発見した。マヨケチャップの組み合わせはオーロラソースというやつか。

 カリカリのトーストにマヨネーズとケチャップを塗って、その上に炒った卵を載せて食べる。この食べ方は美味しいしそこそこに満足感を得られることを知った。その発見以来、時々だけれど朝に自分で作って食パンをもそもそと食べるようになった。パンを食べるときの擬音語は「もそもそ」が丁度よい。

 私はそのことを日記に書いた。素晴らしい発見だったから。

 食パン、卵、マヨネーズ、ケチャップ。そう書いた。存在の並列。なんだか詩的なことだと思いません? 思わないかあ。まあいいのだけど。

 白米だとこうはいかないと思うのです。白米は載せて載せて載せる食べ物ではなく、何かの影だと思うから。秋鮭だったり、納豆だったり、目玉焼きだったりの影。パンは何かの影になるだろうか。パンはパン。影というよりは、何かの友人という気がする。

 そんなことを考えていたらお腹が空いた。明日の朝はやっぱりご飯が食べたい。