テイクアウト

外で何かを食べる。わくわくする。なので今日のお昼はテイクアウトして公園のベンチにでも座って食べるか。

「私一人じゃお店に入れない。何か食べようという気にならない」

妹はそう言ってのけた。詳しく聞くと「だって寂しいじゃん」と。

よくわからない。

その寂しさは「他者から自分が寂しそうに見えて嫌」なのか「実際に自分自身が寂しい」なのか、たぶんどちらも混在している。

前者なら「知ったこっちゃない」だし、後者なら「あなたは他人と一緒にいられる才能がある」ということになるのかな。

気になっていたインド料理屋に入る。なんとカレーが540円なのだ。びっくり。私は日替わりカレー(ほうれん草とひき肉のカレー)を注文して、千円札を出す。460円のお釣りを確認せずに財布にしまう。そういえばこのお会計の際のお金を受け取る瞬間、苦手だな。慌ててしまい(相変わらずレジの前に立つと動揺する)さらには財布が小さめだからなかなかお釣りをしまえない。財布、新しいものに買い替えようかなとも思うけれど、結局小さめの財布を買うだろうから解決には至らなそう。保留。そもそもレジの前で慌てなければいいのに。

テイクアウトをすると、テイクアウト「仲間」を見つけるのが上手になる。松屋の弁当(ちらっと見た限り4人前)を両手から提げている人、マクドナルドの袋を自転車の前カゴに入れて走ってる少年。財布を持ってうろうろする人たち。店先で売られている餃子。みんな何か食べようとするお昼時、そわそわする。

春は風が吹く。子どもたちが声を上げながら追いかけっこをしている公園の片隅で、先ほど買ったカレーを膝の上に並べる。環境に配慮された木のスプーンでルーをすくってそれを口に含む。カレーの味だ。少しクリーミー。カレー、好きだな。心の中でにこにこしながらカレーを食べ進める。

食べる、美味しい、食べる、美味しい、食べる、美味しい。ランチタイムに公園でカレーを食べてるだけで生きていけたらいいのになと思う。生きる為に食べるはずが、食べる為に生きるになっている。でも私に関しては、あながち外れてはない気がする。

春は風が吹く。そよそよと髪の隙間を通り過ぎていく。私は立ち上がり口を縛ったビニール袋を持つと歩き出した。仕事をしなければならない。