コインパーキング

 更地だったところがいつの間にかコインパーキングになっていた。

 数週間前に駐車場らしきものができ始めたと思ったらみるみるうちに白のラインやら駐車スペースに敷かれた機械やら(これが跳ね上がることで清算しないと車が出せないようになる)コインパーキングなる空間が作られていく。私がその場所を通りかかるときは誰もおらず、妖精さんがこっそりと組み立てているとでもいうような不思議な光景だった。そして四月の最初の日から稼働となったのだろう、三月最終日までは駐車スペースに一つひとつ赤色のカラーコーンが置かれていたけれど、それも無くなってしまった。一体だれがカラーコーンを持っていったのだろう。妖精さんに違いないな。結局お会いすること叶わず。残念であった。

 見たところ、まだ誰も駐車する人はいなくて、「空」の文字が蛍光グリーンでピカリと光っていた。「満」になる日は来るのかしらと思いながら、私は家路を急ぐ。