終わりの話

 ふと「終わり」のことについて考えていた。

 知っている少年漫画を挙げられるだけ頭の中でリストアップし、その物語の結末について、あるいは、まだ途上であるならば最終的に予測されうるゴールについて思い浮かべてみた。

 例えば、最初から明確な「敵」がいた物語があった。例えば、最初は手が届く範囲の出来事を愚直にただひたすら対処していく物語があった。なりたいものがあった。できるようになりたいことがあった。望みがあった。夢があった。討ちたい敵があった。終わりがあった。

 「終わらせる」という言葉があるけれど、そこには「終わり」を意図的に作り出すというようなニュアンスがあるような気がする。

 私たちの終わりはどこ?

 私の終わりはわかりきっていることだけど死ぬこと。誰かが生きていれば物語が終わることはない。その物語をおぼえている人がいれば物語の世界が終わることはない。終わりがない物語を終わらせるには、終わらせるしかない。彼ら彼女らの物語は終わったと宣言しなければならない。一旦は。

 永遠に続く小説はない。必ず最後のページが訪れる。それは終わり?否、かりそめの終わり。保留の終わり。とりあえずの終わり。私は終わりが嫌い。本当の終わりはそこじゃないから。

 終わりの話。