光と波と

光と波と


飛び込み台を足で力一杯押し出しからだを宙に投げ出す。音が消えた。プールの底に向かって手で水を掻く。真夏の太陽の日差しがプールの中まで差し込み、水面の揺らぎが網のようにプール全体に広がっている。底にたどり着くと私はクルッとひっくり返り、プールの裏側を見る。ゆっくりと肺から息を追い出して、浮力を失ったわたしのからだがぺたりと底につく。息を吐ききり、あとはわたしの体が苦しくなるまで束の間の静寂を味わう。波が光る。光が揺らぐ。私はひとり、それを見る。なんと幸福で寂しいことか。17歳の夏。