目玉焼きハンバーグ

 幼馴染ふたりと食事。目玉焼きハンバーグ(ドリンクバー付き、ライス大盛り)を注文して、確かにハンバーグを食べたと思うがどういう味だったか覚えていない。人と食事するとき、ご飯をゆっくり味わえた試しがない(というのは言い過ぎ)。

 よく喋り、よく笑い、よく飲んだ。趣味も価値観も性格も性別も異なり、幼稚園からの仲とはいえ、格別に仲が良かったわけではない間柄、しかし、私たちは善良だった。ある一定の年齢まで、同じ空気感、同じ土地で生きてきたからこそ共有できる「人の良さ」みたいなものがあった。Aは脂肪肝で健康診断でE判定を食らい(それでもなお煙草はやめられないと言う)、Cは異業種への転職を考えていた。私はもう余生で、人生2回目のような気持ちだから今が一番楽しいと言った。

 別れたその足で私はプールに向かった。体は重く、頭の中は先ほどまでの会話が抽象的なイメージで反響していた。メンタル的な疲労は、フィジカルな疲労で塗り替える必要があった。それは「脱色」と呼べる作業だった。400mを一気に泳ぎ、私は胃の中のむかつきを感じた。貧血ぽかった。

 ひどく疲れている。