ポテチを少し

 当時の上司が仕事中に間食を嗜む人だった。ブルボンのアルフォートをひとつひとつ大事に食べる人だった。半面がチョコでコーティングされたクッキーをひとつ口に放り、残りは箱に戻して仕事を続ける。なんて自律できている人なんだ!と、上司の所作を見ながら私は思ったものだ。私ならアルフォートは開けたら最後、ひと箱を空にしてしまうだろう。

 ドラッグストアでレイズのポテトチップスに出会う。鮮やかな黄色の袋。容量も多い。そしてちょっと割高。ささやかな挑戦を、とモットーに生きているので(そんなモットー初めて告白したし、多分1か月後には変わっているだろう)私はポテチの袋をかごに入れた。かごの中には、既にカップヌードルのカレー味(玉ねぎの食感が好き)と野菜ジュース(カップヌードルでは補えない野菜たち)が入っている。

 日曜日に買って、今日が木曜日で、私はちまちまとレイズのポテチを食べている。これは正直おどろくべきことだ! いつもなら日曜日に即日食べきっていただろう。確かに、レイズのポテチは塩気が強い(個人的感想)のでだらだらと長く食べ続けるのには不向きということもある。でも、あまりそれは関係ないと思う。私は今回、自分を律して、おいしく食べられそうなときにだけポテチを食べようと思ったのだ。決意したのである。

 だらだらと惰性的に食べるポテチも悪くはない(それがポテチの良さでもあり、食後の後悔までが1セット)。でも、いつもと違うことをするのも楽しい。たまにはちゃんと食べたいものね、あの上司みたいに。

 レイズのポテトチップスはおいしかった。塩気の強い食べ物を好む私としては、ポテチの中では上位にランクインするポテチだろう。油じみも最高。袋から取り出した少しのポテチを、ノートの上に雑に置いていたら油じみが点々と付いてしまった。