リュカ

 大乱闘スマッシュブラザーズのオンライン大会を死んだ目で観戦する(対戦自体はどれも熱く面白いものだったが、私は自分で自分の魂を釘でちくちく刺しているような気がしてならなかった。オンラインというのはそういうものだ)。

 ネス(MOTHER2)とリュカ(MOTHER3)はお互い関わり合いがないはずだし(私の記憶によれば)住む町が違うし多分世界も違うのだから別個として考えるべきだけど、MOTHERシリーズという枠組みだけが両者をつなぎ合わせている、のか? スマブラを見ながらそんなことを考える。ネスもリュカも似て非なる存在。

 ポール・オースターの『ガラスの街』を読んでいる。序盤。すごい会話シーンがあって読みながら震えている。この既視感なんだかなあと考えたところ、そうだそうだポーキーじゃないか(MOTHER2及びMOTHER3に登場)と腑に落ちる。ポーキーは何だったのだろうな。ポーキーを救うだとか、改心させるだとか、考えるのがなんだかおこがましく思える。

 高校生のときに読んだエッセイを借りてみる。あの頃のことを思い出す。あの頃の私は何もわかっちゃいなかった。高校生のときだけではない。多分、その時間において何かをわかるということはどだい無理な話なのだ。理解は遅れてやってくる。私はそれが悔しく、腹立たしいのだが、ある種真理に近いものでそういうものなのだろうと思うことにしている。

 今の私がエッセイを読む。何年後何十年後の私が今の私を嗤う。それを認めること、許すこと、愚かに初めてを経験し続けること。