不機嫌日記

瞬間的に機嫌が悪い私の醜い記録。機嫌が悪いという出力に対して心当たりのある入力がない。強いていえば喉が渇いて、お腹がすいた。

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赤い銀行の角に女性が2人立っていて足元が寒そうだった。2人とも綺麗な金髪。1人は看板を、もう1人はポケットティッシュを持っていて、消極的客引きを繰り広げている。2人だけでころころと談笑している。ガールズバー。店名は見えなかった。

女が欲しいと思ったこともなければ男が欲しいとも思ったことがないな、と思った。それはどういう感覚なのだろう。不思議。

あの子が欲しい、あの子じゃわからん、相談しようそうしよう。はないちもんめのお決まりの口上が頭の中をループする。残酷な遊びだ。欲しいとか欲しくないとかそういう世界から抜け出したい。

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相田さん(仮)の通夜に遭遇する。最寄駅から会場までの案内が手厚い。上下黒に包まれた老若男女がパネルを持って立っている。香典返しと思しき紙袋を持った何人もの人とすれ違う。相田さん(仮)の人徳に私は戦慄する。この人、一体どんな人なのだろう。たまたま会場の前を通り過ぎる。入口にもたくさんの人。参列者は見知った間柄なのだろう、あちこちに集まりができて、穏やかに談笑。亡くなった人の通夜である。

必然的に自分の通夜について考えざるを得ない。通夜嫌い。告別式も、嫌い。自分が死んだ後の世界など知るかという感じで、そもそも葬式というのは遺された人々の為のものなので基本的に好きにしたらいいと思う。私はさっさと死ぬ。理想は客死である。しかし、死ぬのは怖い。

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旅行中のメモを見返したら「文章が書きたい」と書いてあった、ということを思い出した。書けばいいと思う。ただ、この場合の「書きたい」は手書きなんだよな。ノートを広げよう。

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家族とか友人とかそういうのは完璧な球体に見えて苛立つ。

女性は降りて自転車を引いている。スーツ姿の男性と女の子は手を繋いでいる。3人は横一列に並んで談笑しながら歩いている。邪魔なんだけど、と思いながら私は3人を足早に追い越す。季節は寒くなってきた。

休日の公園はこんな風に「完璧な」球体ばかりで、それはいいのだけど、球体の暴力性ってやつ? 私、嫌い、大嫌いって思う。それは馬鹿げた被害妄想ということもわかってる。羨望でもある。傍若無人でいたい。自覚的に傍若無人でありたい。大体、傍若無人でいるときって無自覚でしょう?そんなの勿体ないじゃない。傍若無人の旨味がない。私だって何かの球体の要素になるときがあるだろうし、ごろごろと転がって他者を轢くこともあるのでしょう。知っている。

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やはり空腹であることが不機嫌の要因では、と思い、途中でローソンに寄ってペットボトルの緑茶とポークフランクを買った。外に出て右折。裏道を歩きながらポークフランクをもぐもぐ食べる。

フランクフルト。お祭りの気配。祭り、久しく行ってない。行きたいとあまり思わない。人が多いだろうし。

夜道は好きだ。怖いと思うこともあまり無く、そういう風に油断してるといつか怖い目に遭うよなあと思いつつ、とりあえず今のところは怖いことはない。

でも結構シミュレーションはしてて、えいやっ、とどうにか倒して、倒れたところで喉を思いっきり踏めばいいのかなとか、そういうことをよく考えている。その場合正当防衛になるのかな、調べないと。まだ調べてないから。

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と、ここで帰宅。結局頭の中が色々なことでいっぱいだからではないか、という結論に落ち着く。ほぐしていく必要がある。