日を浴びる

 雨が上がった。濡れたアスファルトはあと数時間で完全に乾いてしまうだろう。花がすっかり散った桜の木は青々と葉を茂らせ、陽光を受けて眩しく光っている。春から夏への移り変わりに立ち会っている。

 太陽の光は日中の暑さを想像させる力強さで少しげんなりする。手のひらを空に差しだすと、思ったより空気は冷たく、今まさに熱さと冷たさがかき混ざろうとしているのだと感じた。徐々に熱さの方が勢力を広げていくだろう。貴重な瞬間である。

 私は晴れの陽気が好きだ(そして曇り空も雨空もそれぞれに好きな瞬間がある)。「幸せホルモンと言われるセロトニンを分泌しましょう」そんな言説を知る前から好きだった。おそらく本能的に(泳ぐことが楽しいように)晴れの陽気を嬉しく思う。曇りや雨の日が続けば続くほど。多くの人が感じるように。

 

 ハナミズキが咲いていた。植物や鳥の名前を覚えたいと思っている、今日この頃である。