肉まん

 徹夜明け、私は朝ごはんを求め街を徘徊する。まだ起きて間もない街はどこかよそよそしく、さっぱりとしていていつもと違う顔をしている。慣れ親しんだ人の思わぬ一面は驚きとこそばゆい気持ちを抱かせる。

 朝ごはんを食べられる場所がなかなか見つからない。自分が朝型人間というのもあって、夜の飲みの場と同じくらい、朝のちょっとしたカフェでの一息とかそういうのがもっと盛んになればいいのに、と思っている。チェーン店に入るのは少し勿体ないと感じる朝。ガード下の中華居酒屋を見つける。朝からやっている。朝セット500円也。

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注)ただの水

 粥と肉まんのセットを頼む。間もなくほかほかに湯気が立ち上る白粥と肉まんとお漬物がのった盆が運ばれてくる。おいしそうだ。ずっと中華粥が食べたくてノートに書いていたことをこの時まで忘れていた。図らずも願いが叶った形。でもまたどこかで中華粥食べたいな。今度はもう少し豪華なやつ。
 卓上に置かれているラー油を入れ醤油をまわしかける。ラー油が思ったより辛くて、れんげを口に運んでいるうちに額に汗がにじんでくる。熱い。辛い。美味しい。

 肉まんを手でちぎり一口食べる。これがとてもおいしくてびっくりしてしまった。コンビニや市販のスーパーの肉まんとは大違い。私にとって肉まんは、大阪土産の551蓬莱の肉まんで、いつもいただくと「うれしいなああああああ」と言いながら電子レンジでチンして火傷しながら食べる。蓬莱の肉まんおいしいよね。でもこの肉まんは蓬莱のものよりもっと素朴で自然で毎日食べる肉まんの味だ。すごく好きな味だった。肉の味付けがちょっと違う感じ。本場の味なのだろうか。

 いい朝を過ごせてよかった。そして眠ることは大事だとも思った。頭がぜんぜん働かない。