気を失う

 以前より寝つきが悪くなった。といってもまだまだ寝つきが良い部類に入るだろうけれど、眠れない状態がある程度続くと感じる。どうしたものかと思って、最近は眠りに落ちるまでの間、自分が気絶する妄想をしている。この前は火事現場に居合わせて一酸化炭素中毒におちいる場合。実際は当然ながらノーサンキューである。

 意識を失う感覚を人はきちんと理解しているか、把握しているかというとそんなことは無いと思うのだ、実際私は気がついたら眠っているのだから。寝ることは怖いな。死ぬことも怖い。意識を失うことが怖い。毎夜毎夜死んでいるも同然な私。気絶を想像するのは、「意識を失うこと」をなるべく鮮明にしたい?明らかにしたい?詳らかにしたい?という好奇心であり、「倒れたい」というシンプルな欲望でもある。気がついたら病院のベッド。点滴。酸素マスク。脈拍を測定する機械。そこまで想像すると途端に醒める。面倒だ。健康であることがいちばん。

 と思って、気がついたら翌朝。