自分で多少の料理をするようになってからは少なくとも、ご飯を炊くのに炊飯器を使ったことがない。まったく使ったことがないとは言わないが、その記憶は下層に埋まっていて取り出すには古すぎる。その為、私が頼りにするとしたら、ドラマとかアニメとかCMとかで目にしたことがあるかもしれない炊飯器絡みの描写になる。
釜で米を研ぎ、それから水を入れればいいのだっけか。釜の内側に引かれた線を見ればいいのだと思いたい。2合の米に対してどこまで水を入れればいいのか。とりあえず「2」と書かれた線まで入れておいた。ボタン。わからない。大きめのボタンで「炊飯」とあったから押しておいた。ディスプレイに「37分」と表示された。鍋で炊いたら30分かからないと思うけれど…、まあ仕方がないな。
37分後、ピーと音を立てて炊飯器は炊き上がりを教えてくれた。どきどきしながら蓋を開けると、つやつやと表面が光るご飯ができていた。良かった。私は安堵する。
他人の家でご飯を炊くってのは、無性にどきどきすることだ。私は炊飯器の使い方がわからないし、炊飯器といってもメーカーが異なれば多少は操作性が変わるだろう。
仕事を終え帰ってきた妹と夕食を食べた。私は豆苗の卵炒めと味噌汁とご飯を炊いた。妹は駅近で3品で1000円の惣菜を買った。水餃子と揚げ出し豆腐とササミフライのうち、水餃子と揚げ出し豆腐にはおろしポン酢のタレがかかっていて、「思いっきり被ってるやんけ」「あ、ほんとだごめん」という言葉を交わした。おろしポン酢は好きだから何も困ることはない。