怒る

 久々に(というか初めてか)めちゃめちゃ怒った。仕事で。怒りで頭が真っ白になって、席を離れた。そして、しばらく呆然とし呼吸が落ち着くのを待った。自分が何に怒っているのか見定めようとした。自分がなぜ、それに怒っているのか考えた。

 相手の胸ぐら掴んでぼこぼこに殴ってもいいなと思ったし、ああ、こうなったら徹底的にやる、喧嘩する、暴れてやるんだ、仕事は今すぐ終いにしてもう永久に出勤しないのだ、そう思って、考えは泡のように消えた。

 なぜ私が怒ったのか。なぜだろう。なんか、駄目だったのだ。

 日記に「嫌い」と書き続けた。どうしたらうまくできるのかを考えた。回答は生まれず、毎日サンドバッグのような気分だった。スマブラホームランコンテストを思い出した。私はバッドで弱く殴られ続けるのだ。他にも考えたいことがあるというのに!

 翌日、私は既に怒りを忘れかけていることに気づいた。昨日と同じ今日が始まろうとしている。忘れやすさ、飽きっぽいことで、私はここまでのんびりと生きてこれたに違いない。

 次第に私は「怒るべきだったのか」ということについて考え始めた。怒ることは正しくなかった。私に落ち度があった。それを素直に受け入れるべきだった。

 本当にそうかな?

 怒って良かったと思う。相手にその怒りは伝わってないだろうけれど、あの瞬間、私は確かに怒ったのだ。

 怒ることは、大切だ。怒ることは、始まりだ。私は何を始められるかわからないけれど、今日もゆるゆるやっていく。

(にしても、自尊心が削りに削られまくって、肌がちりちりと痛む。痛え。消耗している。ただでさえ疲れているというのに。回復しないといけないが、時を要するし、源流が止まらないと痛みは増える一方だろう。それはまやかしだと思っても、細かい傷はつくものだ)